第31話 仲魔、仲間、友達。そして、家族(3)
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してたんだったら、最後までそれを通してくださいよ!」
そんな一連の行動を見て、からかわれたんじゃないかって考えたんでしょう。アリサちゃんがさっきとは打って変わってプリプリ不満顔でそう言います。
「え〜、あなた達に今、教えてあげられる事は全部言ったんだもん。ホントのホントに、私の言えることはさっきで打ち止めよ」
アリサちゃんのそんな追及に、リリーさんはひょうひょうとした態度を崩さないまま答えます。あまつさえ、山と積まれているデザートをもぐもぐ食べ始めて、本当にできる事は全部したっていう感じです。
「それに、大事な事は言ったでしょう? 大事なのは、私がどう考えてて、思っているかじゃなくて、あなた達がどう考えて、どう行動するか、よ。
私は、本来の私の制限を超えてまで、あなた達に協力してあげたわ。なら、今度はあなた達の番じゃない?」
そこでふと何か思いついたのか。「あぁ、でも」と、リリーさんはそこでデザートを食べるのをやめ、にっこりと私達に笑いかけます。
「ジュンゴの事は勿論だけど、あなた達も幸せになれる選択肢があるのなら、私はそれを選んでほしい。願わくは、あなた達がそんな道を見つけられるように……そう、思っているわ」
そう言うと、リリーさんは「すみませ〜ん!」と追加注文を頼みはじめ、それ以降はこの話題には一切触れようとせず、ずっと私達と世間話をするだけでした。
……結局、何がリリーさんの本当の気持ちだったのか、最後までそれは教えてくれませんでした。
けれども、それはそれでいいんだと思います。だって、リリーさんが純吾君を大切に思っている事は、仲魔かどうかなんて関係なく、本当の事なんですから。それだけで、多分、十分なんだと思います。
だから、私達も今日の相談で教えてもらった事を、純吾君達にしてあげたいと思います。最後に見せてくれた、あの綺麗な笑顔を裏切らないために。何より、私達自身が、そうしたいんだって思っているから。
まずは、家に帰ったら純吾君に「おかえり」か「ただいま」って言ってあげよう。純吾君の事、力があるくらいじゃ怖がらないって、言ってあげようと思います。
そうやって、純吾君の事、受け入れてあげようと思います。以前私が、純吾君達に受け入れてもらったように。今度は、私がそうしてあげたい、そう、思いました。
その後
「ふぅ〜、食べた食べた。あっ、そろそろ出ましょうか。すみませ〜ん、お勘定お願いしま〜す」
日もすっかり傾いた頃に、リリーさんは満足げに桃子さんへお勘定をお願いしました。
目の前には山と積まれた空の食器。翠屋自慢のデザートが入っていたそれらは、綺麗に食べつくされていて。それで
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