第31話 仲魔、仲間、友達。そして、家族(3)
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当の気持ちで、どこまでが契約によって生まれた気持ちかなんて分かりっこない。
それに、私は悪魔。どれだけ彼の事を想おうとも、それが迷惑になるかもしれない。どれだけ彼に近づこうとも、考え方や在り方、そんな根本的な所から違う」
そんな寂しげなまま話すリリーさんの言葉は、私達が全く想像もしていないものでした。だって、一番2人に近いと思っていた人が、自分こそ一番遠い存在なんだって、そんな事をいうと思いますか?
「だから、ジュンゴも、なのちゃんも必要としているのは、自分で考え、自分の意思で道を決め、その上で味方をしてくれる人間の仲間。
そして、戦いが終わった後に帰ってくることができる場所である、友達であり、家族」
つぅ…、と。ふとした様子で顔をあげたリリーさんの視線と目が合います。その目の中には、私達への嫉妬や羨望――自分にないものを、羨むような――の光がありました。
その、入り乱れる感情を閉じ込めた瞳はとても綺麗で、私は自分の頬にそえられているリリーさんの手に気づきもしませんでした。
「だからお願い、2人に言ってあげてちょうだい。ここがあなた達の帰るべき場所なんだって。そして、ジュンゴに教えてあげて、あなたの友達は…、家族は、ここにあるんだってことを。
私達、彼に与えられてもらってばかりの仲魔では。それは、絶対にできない事なんだから」
私達にすがるような、必死な声音でお願いをされた言葉。頬に感じる、柔らかくて、温かな手の感触と一緒に伝えられた言葉は、私と、隣に座っていたアリサちゃんをも、困惑させるものでした。
だって、だって……
「ふぁにふひふんでひゅかひふぃーふぁん(何してるんですかリリーさん)」
必死だった声音とは正反対に、リリーさんの手は私の頬を思いっきり引っ張りあげていたんですから! 真面目だった言葉と、このふざけた態度、どっちが本当の気持ちか判断つきかねて困るに決まってるじゃないですかっ!!
「り、リリーさん? 今の話し、今日の中で一番大事な気がするんですけど…。あの、今言った事は――」
「さ〜ぁ? まぁ、どっちだっていいんじゃない? 言ったでしょう、大事なのは、自分の意思で2人に協力してあげることだって」
さっきまでの真剣な雰囲気はどこへいったのやら。私の頬を引っ張ったまま、リリーさんはすごい困ったような表情のアリサちゃんの疑問に答えます。
もうっ、「ん〜、やっぱり若い子のお肌ってぷるっぷるねぇ〜」じゃあないですよっ!
「まぁ、あんまりつねりすぎて傷ついちゃったりしたら一大事よねぇ」
そう言って、やっと頬から手を離してくれたリリーさん。
……うぅ、すごく、すっごく! つねられた所がひりひりします。
「もうっ! 真面目に話
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