第31話 仲魔、仲間、友達。そして、家族(3)
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顔をあげたのを見計らって小さく頭を下げてくれます。
「本当に、ごめんなさいね。けど、私は”これ”が怖いの。ここに来る前、ジュンゴが死にそうだったっていうのに、何もできなかった。彼を守るはずの仲魔だっていうのに、最後まで彼に守られてばかりだった。それが本当に悔しくて、純吾と二度と会えなくなったらって、怖かった」
頭を下げたままそう話すリリーさんの顔は、綺麗な髪に遮られて見えません。けれどもかすかに震える髪に、どんな気持ちで話してくれているのかが、はっきりと見えるようでした。
「ここで生活するようになって決めたの。ここで幸せになってもらうんだって。もう絶対、ジュンゴに傷つくようなことをさせないって。身体の事は勿論、心にだって……
だからこそ、あなた達がジュンゴに戦えって言いに行こうとした時、本当に自分を抑えきれなかったの。
あなた達はそうは思ってないかもしれないけど、私はあなた達がいてくれたからこそ、今のジュンゴがあるって思ってたの。それなのに、何度もジュンゴを立ち直らせてくれたあなた達が、ジュンゴを追い詰めるのかって。ジュンゴを、裏切るのかって」
普段のおちゃらけた様子が一切感じられない、本当に真剣な言葉。それはリリーさんがどれだけ、純吾君の事を思っているかが、溢れでてくるような言葉でした。
リリーさんはそこで言葉を区切ると、ふぅーー、と長く息を吐いて、ゆっくりと頭をあげました。
恥ずかしさからか、それとも、違う気持ちからでしょうか? 少しだけ紅くなった顔をしたリリーさんは、そっぽを向いて髪をかきあげます。
「……ガラじゃないわね、こんなことまで話しちゃうなんて」
「そんな事は――」
「あぁもうっ、やめやめ。いつまでもおもっ苦しい空気したままじゃやってられないわ」
はいこれ食べてっ! って、完全にいつもの調子に戻ったリリーさんにシュークリームを口の中に入れられます。ちょ、ちょっと息が苦しいですって!
いきなりの奇襲に涙目になって横を見ると、アリサちゃんも目を白黒させながらハムスターみたいに口いっぱいにシュークリームを詰め込まれていました。そんな私達を見ながら、一仕事終えたって満足そうなリリーさん。
「ふぅ、あぁすっきりした。恥ずかしい事話した代わりに、2人の面白い顔も見れた事だし、やぁっと本題に入れるわ」
「んっ…。もう、こんな事しなくたって入れますよ」
「や〜よ、私の気持ちの問題だもん」
涙目な私達をみてにかっとリリーさんが笑います。大人の笑い方っていうよりも、同じ学年の男の子達がイタズラに成功した時にみせる、本当に楽しそうな笑い方です。どうもその容姿と一緒で、リリーさんには大人な部分と子供な部分があるみたいです。
「ああもう、悪かったわよ。ほらアサ
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