第四章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
どうしようもないよ」
「さて、これで疫病神が消えたな」
今のチームのファンはこんな調子だった。
「後は優勝だな」
「置物がいなくなったからな」
だがチームは相変わらずの監督の幼稚な采配により低迷しこのシーズンも散々な結果に終わった。監督はこのチームでははじめての監督としての優勝を経験していない、しかも通算勝率が負け越している監督となった。無能という烙印まで貰い追い出されるようにして辞任した。
そしてゲーリッグもまたこのチームを去った。二年契約ということもあり彼は次のチームに移ることになった。その彼が足を運んだチームとは。
「何しに来たんだ?」
「どの面下げて来たんだ?」
まずは冷たい視線に迎えられた。
「よくもまあおめおめと」
「恥知らずが」
はっきりと聞こえるように言われた。
「おい、後で玄関に塩撒いておけよ」
「通った後消毒しとけよ」
実際に玄関に塩が撒かれゲーリッグの後をこれみよがしに掃除される。完全に汚物、不吉なものと扱われている彼はそれでも建物の先に進んだ。そうしてある扉のドアを叩いたのだった。
「はい」
「僕だけれど」
まずはこう言った。
「契約のことで」
「いませんよ」
こんな態度であった。
「そんな話は」
「そんな・・・・・・」
「七億貰ったんだろ?」
扉の向こうから愚弄する声が来た。
「それで充分じゃないか。違うかい?」
「僕は野球が」
「あのチームでやれば?」
また扉から声がする。やはり周りの目は侮蔑しきったものだった。あからさまに嫌悪の顔を見せてきたり足元を掃除する者までいる。
「あそこで野球がしたいから行ったんだろう?」
「お金は」
「お金が全てなんだろう?」
こう返された。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ