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堕ちた英雄
第三章
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う書き込みや噂を目や耳から入れて心中穏やかではなかった。
「僕は間違っていたかも知れない」
 こう思いだしていた。
「今のチームに入るべきではなかったのかも」
 だがもう遅かった。今はそのチームにいるからだ。
 シーズンオフは全て彼の悪口ばかりであった。ネットだけでなく新聞でもテレビでも叩かれる。しかも擁護する者はごく僅かだった。
「あんなチームに行くからだろ」
「自業自得だ、自業自得」
 よくこう言われたし書かれた。
「金に目が眩んだ結果だよ」
「あそこはあんなチームなんだよ」
「金が全てじゃないだろうにな」
 彼が元いたチームのファン達もこぞって書いたし言った。そのチームは少なくともシーズンは彼が今いる金満チームよりは遥かにいい成績だった。優勝こそしなかったが。
「あいついらねえよな」
「戻って来るな」
「裏切り者はチームに戻るな」
「裏切り者・・・・・・」
 この言葉がゲーリッグの目に入った。丁度ネットを見ていてだ。
「僕は裏切り者・・・・・・」
「精々あのチームでソロホームラン打ってろよ」
「来るな来るな」
 誰もがこぞって彼を嘲り罵る。かつて彼を応援してくれた者達ですら。彼はそうした中でシーズンオフを過ごしてキャンプに入った。そのキャンプでも。
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