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堕ちた英雄
第一章
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のシーズンのチームとの契約に入ろうとすると。スポーツマスコミが急に騒ぎだしたのだった。
「ゲーリッグ退団か」
「交渉難航」
 急にであった。
「ゲーリッグ激怒」
「フロントも歩み寄らず」
 事実よりも先の言葉であった。
「あのチームへ移籍!?」
「来年は別のリーグにか」
「!?何、これ」
 当のゲーリッグもこうした報道に困惑することになった。
「何で僕があのチームに行くの?」
「あれ、そうじゃないんですか?」
「そう聞いてますよ」
 ところが周りの記者達もしたり顔でこう言うのだった。見れば誰もがあのチームの親会社の某巨大マスコミの系列の記者達であった。
「何かオーナーが来年貴方はいらないって」
「オーナーってうちのチームの!?」
「はい」
 こう答えるのであった。
「ですから。来年はあのチームですよね」
「二つのリーグでホームラン王狙ってるんでしょう?」
 実は彼は既に今いるリーグで何度か三度ホームラン王を獲得しているのである。言わずと知れたスラッガーでもあるのである。
「ですからあのチームに」
「で、ゲーリッグ選手」
 記者達の顔が急に下卑たものになった。いや、これは本性が出たと言うべきであろうか。仮面の下にあるその素顔がである。
「あのチームはですね」
「うん」
 とりあえず聞いた。だがこれが。
「凄いですよ」
「凄いって?」
「だから。これですよ」
 その下卑た顔で手に指で円を作ってみせる。言わずと知れた金のことである。やはりその動作が何処かのしゃもじを持って喚いている落ちこぼれ落語家の如く品がない。
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