留まる美しさ
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守るために壊す、その生き方を信仰したのが私達ですので」
故に
「私達、熱田神社は不可能を背負う王の刃の一欠けらである事をご理解して頂ければと思います」
「おや、隆包にァってぇのは、珍しい組み合わせじゃねえか……何かあったのか?」
アルカラ・デ・エナレス教導院の校庭での一角に、三征西班牙での主力が揃っているのを見てベラスケスが素直に思った事を吐き出す。
「そういうベラのおっさんこそ、一人歩きして何してんだよ……言っとくが俺に絵心なんか求めんなよ」
「お前に絵心なんか求めるくらいなら、まだペンに対して喋りかけた方が痛々しくないわ」
放っとけと吐きながら、隆包は手に持っているバットを素振りし、ァの方は双剣を点検している。
その様子から、二人が何で揃っているのかを理解した。
「武器の点検かぁ? まぁ、隆包の方は砕けてしまったから理解出来るとして、ァの方はどうしたんだよ?」
ァのような武士の鏡が、もう武蔵襲撃からかなりの時間がかかっているのに武器の点検をこんな遅くにするとは思えないと言外に告げると、ァはTes.と前置きをし
「実は、副長と一緒に武器の点検……というよりは武器の強化に勤しんでいたのです。一人でも出来たかといえば出来たのですが、意見が欲しいというのもあったので」
「意見つーと……」
二人に共通するこれからの事で、尚、強化しなければいけない事情と言えば一つしかない。
「武蔵の剣神対策か?」
Tes.と二人揃って、返事をし、そして、思い出したかのように呆れたかのような表情を浮かび上げる。
「実は、あの時は大丈夫だったんですが……私の方の双剣もあれだけしか打ち合っていないのに、既にぼろぼろになっていたので……一応、流体強化でそこらの武器よりは頑強にしていたはずなんですが……」
「あんま、落ち込むなよ。対峙してわかったが、ありゃあ、化物だ。人間の形をしているのが余計に性質が悪い類のだ。世界から恐れられているなんて言われる様な能力を当たり前のように実現させているキチガイだ───不足を嘆いているだけじゃあ、止まらねえよ」
副長らしい意見といえば意見だというのは、理解できるのだが
「……の割には、笑ってんぞ?」
表情が言葉の割には緩んでいる。
例で言うならば、今から友達と遊ぶ約束をしていて、それを楽しみにしているという感じの。
指摘されてから気付いたのが、直ぐに仏頂面に戻そうとするが、指摘されている時点で遅い。
その殊に、罰が悪い顔になり
「あーー……いや、こりゃ、悪いとは思ってんだが……つい……」
「……いえ、共感できるので、大丈夫です」
……共感?
ァがそういう事を宗茂以外に言うとは珍しいと思う。
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