留まる美しさ
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の前に人差し指を立てて内緒という風に首を傾げられたら一撃必殺の凶悪さを作りますね、と思う。
「そ、そうなんですか……ほ、他にもいるんですか……へぇ……?」
「ククク、まぁ、あの馬鹿、昔の草子に出てきそうな一人に恋している主人公っぽい感じがあるものねぇ……ハーレムとか目指す程鈍感でもなければ器用でもないんじゃない?」
「はい……出来れば、もう少し脇目に視線を向けてくれたら嬉しかったんですけどね」
おお……! とこの場にいる女子衆で思わずドキドキする。
何というか凄い。
恐らく、恋愛系でここまでドシドシ行くキャラは梅組にはいなかった。
強いて言うなら、ナルゼやナイトにハイディなのだろうけど、三人とはまた違った積極性である。
凄いなぁ、ともう一度思う。
すると、彼女は視線をこちらではなくウルキアガ君に転がされているトーリ君の方に視線を向けた。
「あ……ええと、確か、貴方が……ええと……な、ナチュラルですね……」
「ほ、ほら、トーリ君! 初対面相手に全裸なんてかますから、気を遣わされているじゃないですか! 留美さんが汚染されるんですから、ちゃんと掃除されてください!」
「時々、浅間が何を言っているか微妙に解んねえことがあんなぁ……その乳に詰まってんのは頭に届くはずだった栄養か! そうなのか!? そうなんだろ!」
矢を向けたら逃げ出したので無視した。
やれやれ、と首を傾げて、ふと、留美さんの方に視線を向けると変わらない笑顔で、しかし、彼を見る目にはさっきまでの慈しみが失せ、真剣な感情を映している。
どうしたのだろうか、と一瞬身構えるが、相対しているのは私ではなくトーリ君の方なのだろう。彼女はこちらを見ずに
「シュウさんがよく語ってましたし、注目はしてたんです───私達の神様を十年間縛り付けていたのは誰だったのか、と」
温度が数度くらい下がったような感覚を得た気がする。
喜美が笑みではない目の細め方をし、トーリ君は気付いているのか、気付いていないのか、頭をポリポリ掻いている。
その顔は
困惑……というよりあー、しまったなーって顔ですね……
つまり、彼も十年もの間、彼を禁欲させたことについては悪いと思っているのだろう。
それについては、自分達では知らない約束とか友情の問題であると思い、誰も聞いたりはしていないが、気にならないかと言われれば嘘になる。
とは言っても、ここではそんな事を問える状況と雰囲気ではないので黙っていると
「あの馬鹿が禁欲かましたのは確かに、ちょっと俺としても想定外だったんだけどよぉ……熱田神社で何か、それ、問題になったの?」
「Jud.───いえ、別に」
ただ
「私達は、何れ私達の暴風神が疾走する時を待ち望んでいただけです。愛するものを
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