留まる美しさ
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どうやら、この話題では多数決の方が強そうなので、他の話題に変えることを決断する。
「武蔵も強敵ですが……我々の一応の敵は英国です。そちらの方の戦力は」
「何回シミュレートやってる思ってんだよ……まぁ、とりあえず、負ける気はないが」
「三征西班牙の衰退は、やはり、避けられねえだろうなぁ……"俺達は金があれば使ってしまう。ただ、情熱に任せて祭りをやって、嫌なことは忘れてしまう"って言いたい所だがなぁ……」
言いたいことは解る。
その言葉通りにいくには、人間にはきつ過ぎる。人間は確かに、忘れて生きていける種族だが、如何せん、不確定の未来の不安ならまだしも、決定された未来の不幸を忘れるほどではない。
他の種族からしたら難儀なものだと思われるのかもしれない。
異属や長寿族みたいに、自分達は長命ではないので、百年の短いスパンで測ることしかできないのだから。
「ま、そこら辺は暗くなっても仕方がないだろう。大将や娘っ子に期待するしかあるめぇよ、俺達は」
「他力本願ですか? まるで、武蔵総長みたいな言い方ですね」
「その本人が言っているセリフを借りるなら、出来る奴に任せるってやつだ。俺は絵を描くことしか能がないただのおっさんだぜ? 情熱に任せるような年齢でもないしな」
「というか、ぶっちゃけ何歳ですか」
「おっさんの年齢を聞いても面白い事ねえだろ」
本当に何歳かどうか好奇心はあるが、まぁ、確かに別に無理に聞きたいことではなかったので、そうですね、と答えるだけにとどまった。
そして、時間を見て、気付く。そろそろ、宗茂様に会いに行く時間と、自分が決めていた時間であるということを。
「すいませんが……」
「おう、片付けはこっちに任せとけ。遠慮なく、旦那の見舞いに行って来い」
旦那と言われて、多少、頬が赤くなるのを自覚するが否定なんてする気もないし、恥ずかしがったりもしない。
だから、黙って手の重荷を自覚しながら、保健室に向かおうとして
「……おい、ァ」
書記に急に止められたので、アイコンタクトで何でしょうかと問うと
「……どうして、お前はさっきまで研いでいたであろう二枚刃を両腕に握りしめているんだ?」
「Tes.───そろそろ宗茂様の髭が伸び始めているころでしょうからと思い───何でしょうか、その嫌そうな顔は」
おかしなものです、と思い、今度こそ保健室に向かう。
ああ、本当に
「何時になったら、また宗重様と元通りに一緒にいる事が出来るでしょうか……」
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