第一話 〜門出〜
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れたのか?』
『え?豪帯どっか行っちゃうの?』
『え?』
『え?』
一瞬変な空気が流れる。
そして隣の凱雲の横顔を横目で見るとそれに気づいた凱雲は決まりの悪そうに咳払いをする。
なんかすごく恥ずかしい。
慌てて話を続ける。
『お、お母さん達から何も聞いてないの?』
『聞いてないよ?』
『俺達はただいつもみたいに豪帯と遊んでやろうと思ってただけだぜ?』
なんでだろう。
一応それなりに村の人達とは前々からこの村から離れるという事は伝えてたつもりなのだが、どうやらこの子達は何も聞かされていないみたいだ。
あと遊んでやろうってなんだ。
『豪帯ちゃんどっか行っちゃうの?』
女の子の一人が聞いてくる。
『うん、もうこれから"遊んであげられなくなる"けどみんな仲良くな』
そう言ってさっき遊んでやるとかぬかしやがった男の子をわざとらしく見る。
なんか眉をしかめている。
へっどうだ。
『えー やだ!!』
『豪帯どっか行っちゃうのやだ!!』
『もっと遊ぼうよ!!』
成る程。
こうなってはスッキリ見送りもできないだろうとわざと子供達には伝えていなかったのか。
それでもやはりこんなにも別れを悲しんでくれる人がいるのは正直に嬉しい。
不意に口元がにやけてしまう。
隣の凱雲を見れば、彼もまた微笑ましく笑顔で返してくれた。
そんな雰囲気の中。
『豪帯"が"寂しいだろ!!』
『おいちょっと待て』
僕は聞き逃さなかった。
まぁ僕も大人だからね。
一回くらいは見逃してやるつもりだった。
が、凱雲がいる手前、これ以上恥をかかされては堪らない。
僕は颯爽と馬から降りる。
そして彼の前に立つ。
『さっきから妙にひっかかるんだよね。"誰が"寂しいって?』
『お前に決まってるだろ?豪帯。ついに耳"まで"いかれちまったか?』
周りの子達は"またか"というように僕らから離れていく。
だが気にしない。
『いっつも思ってるんだけどさ。お前って本当にガキだよな』
『がっガキだって!?お前に言われたくねぇよ!!バーカ!!』
カチンッ
『お前だってチビの癖に!!バーカ!!』
『んだとこの野郎!!』
『や、やめてよ二人とも!!』
子供達が止めに入る。
『豪帯ちゃん最後になるかもしれないのにケンカはやめてよ!!』
『だって!!こいつが最初に突っかかってきたんだぜ!?心配してやってんのに!!』
『誰が寂しがるかよ!!僕はお前と違ってもう大人なんだぞ!?お前が寂しいんだろ!!素直にそう言えよ!!』
『お、俺だって寂しくなんかないやい!!チービバーカガキガキ!!』
『んだと!?自分の年言ってみろこの野郎!!』
『やめてって!!』
それから少しギャ
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