第二十一話 夏休みのはじまりその一
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第二十一話 夏休みのはじまり
期末テストが終わり結果も全てわかった、琴乃は自分の結果をチェックしてから少し首を捻ってクラスメイト達に言った。
「あたしが一番成績悪いかも」
「あれっ、あんたそんなに勉強駄目だった?」
「そこそこじゃないの?」
「クラスで真ん中位でしょ?」
「四十人中十五番だったわ」
琴乃は今クラスの後ろに背をもたれかけさせてそのうえでクラスメイトの女の子達と話をしていた、それでこう言ったのだ。
「今回はね」
「って一番悪くないじゃない」
「いいとは言えないけれどそんなもんじゃないの?」
「そんなに暗い顔しなくてもいいんじゃない?」
「そう思うけれど」
「ええとね」
琴乃は難しい顔になってクラスメイト達に返した。
「部活ね」
「ああ、軽音楽部の」
「そっちの話ね」
「プラネッツの皆成績いいのよ」
その中で一番悪いというのだ。
「そうなのよ」
「里香ちゃん成績ダントツだからね」
「一番だしね」
「里香ちゃん以外にもね」
他の三人もだというのだ。
「成績いいから」
「その中で琴乃ちゃんはなのね」
「一番下なのね」
「美優ちゃんと景子ちゃんはクラスで五番以内に入るし」
二人もそれ位の成績だというのだ。
「それ彩夏ちゃんはクラスで十番位で」
「で、琴乃ちゃんが十五番」
「一番悪いかもっていうのね」
「うん、まあ赤点は取らないけれどね」
この学園の赤点は四十点より下だ。標準的と言えるだろうか。
「それでもね」
「けれど十五番ってね」
「全然悪くないし」
「家帰っても怒られないでしょ」
「胸を張るものでないにしても」
「そんなに気にすることないわよ」
クラスメイト達はそれぞれ琴乃に言う。琴乃自身そう言われてだった。
少し気を取り直した、そしてこう言った。
「それじゃあ」
「そう、テストのことは忘れて」
「いよいよ夏休みよ」
「これから四十日、楽しまないとね」
「学生の特権をね」
「そうね。今年の夏はね」
夏休みの話になると琴乃も笑顔になった、それでこう言うのだった。
「部活を楽しませてもらおうかしら」
「部活で青春をっていうのね」
「そうするのね」
「うん、部活の合宿で広島に行くしね」
琴乃は自分でも機嫌がよくなってきていることを感じていた、それで上機嫌のままこのことを言ったのである。
「江田島に行くのよ」
「ああ、海軍の」
「あそこに行くのね」
「兵学校のあった場所には泊まらないけれどね」
今は海上自衛隊幹部候補生学校になっているそこにはというのだ。
「あそこに八条グループの保養施設があるから」
「あれ江田島にもあったの」
「鳥羽とか白浜だけじゃなかったの」
「
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