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魔法少女リリカルなのは〜過去を捨て今を生きる者〜
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ついついキャラが崩壊した
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第三十五話 ついついキャラが崩壊した


いつもと同じユメを見ていた。
フラッシュバックのように短く、でもとても長く感じられるような一瞬のユメを。

「あら、今日は早いのね、大吾?」

それは優しく、包まれるような女性の声。

「まったく、いい加減に高校生という自覚を持たないか、大吾!」

それは男らしく、それでも怖いとは思えない男性の声。

「心配しなくても私は兄さんの傍にいるよ?絶対に・・・ね♪」

それは慈愛に満ちた、透き通るような女性の声。
これらの声の主は、とっても大切な人の声だった。

「あんれ〜?もう終わりカナ?」

それは楽しげな、ドス黒い雰囲気を纏った声。
その声のあとにさっき聞こえてきた、大切な人たちの声がまた聞こえてくる。

「あの子は、絶対に・・・くる・・・!」
「アイツが俺たちの意思を継いでくれる・・・。だから俺たちが今すべきことは、守りぬくこと・・・ただ、それだけだ・・・!」

二人は弱々しげな声でありながらも、確固とした意思を持っていた。
絶対に、守り抜いてみせるといった意思が、そこにはあった。

「兄さん・・・が、助けて・・・くれ、る・・・から・・・」

その声はとても儚げで、すぐにでも消えてなくなってしまいそうな声だった。
それでもやっぱり、何かを信じていた。

「さ・・・ら・・・?紗羅ァァァァァァアアアアァァァッッッ!!」

怒り狂った・・・そして、守りたかったものを守れなかった悲しみが入り混じった声。
声の主は、

「きっと助かる」

そう思った。
でも、現実は簡単ではなかった。
大切な人の命は、いとも簡単に失われた。

「兄・・・さん・・・、私・・・は___」

あとに続く声は、ノイズが走って聞こえなかった。
その代わり、またあのセリフが聞こえてくる。

「殺したい・・・」

と・・・。


「ッ!?い、今の・・・!」

僕は目が覚めると同時に飛び起きる。

「おにぃ、大丈夫!?」

その場にいたのは美愛。
昨日泊まっていたみんなはリビングにいるのだろう。この部屋にはいなかった。

「ユメ、思い出せる?」

美愛が不思議そうに聞いてくる。
ユメ・・・。

「あ、ユメの中で僕のことを「大吾」って呼んでたきが・・・する」
「お、おおぉぉぉぉ!おにぃ、進歩した!今まではなんにも覚えてなかったのに!」

あー、美愛のテンションもこういう時だと落ち着くな・・・。

「美愛、疲れたからもっかい寝る。ご飯は・・・冷蔵庫に昨日の残りがあるから、みんなで食べて。起こすのは十分後。ヨロシク」
「うん、頼まれた!お休み、おにぃ。いい夢を」

その声を聞いて、僕は意識を手放した。



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