A's編
第三十一話 後
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ちゃんとすずかちゃんも同様だ。
「あんた、なによその恰好。それに今……空から降りてきたような……」
呆然とした中で情報を集めたのだろう。情報を整理するように言葉を発するアリサちゃん。僕だって、その気持ちはわかる。僕だって、もしも何も知らずにこんな状況に突っ込まれたらひどく動揺するだろうから。
だから、僕は少しでも安心させるようにいつも通りの笑みを浮かべて、落ち着かせるように静かな声で言う。
「話はあとでするから、今は僕の周りに集まってくれないかな?」
思ったよりも炎の球が速かった。魔法に文句を言っても仕方ないのだが。
アリシアちゃんとアリサちゃんとすずかちゃんは顔を見合わせていたが、僕を信じてくれたのか、僕の周りに集まってくれた。
僕はそれを確認して、サークルプロテクションを展開する。僕たちの周りを白い障壁が展開される。それをアリサちゃんたちは物珍しそうな目で見ていた。
「ねぇ、ショウ、いったい何が起きてるの?」
「全部あとでまとめてでいいかな? ちょっと相手にしなくちゃいけないものがあるからね」
それは直径が大人の身長はありそうな三発の炎の球だ。彼女たちも、それが見えたのか口をつぐんだ。直撃コースではないだろうが、近くに落ちてくることは間違いないだろう。
「ショウくん、大丈夫なんだよね?」
すずかちゃんが恐怖に震えるような声で問いかけてくる。こんな映画の中の非日常に突っ込まれればそう思うだろう。もっとも、それをいえば、すずかちゃんも吸血鬼という非日常の一部であるような気がするのだが、言わぬが花だろう。彼女が怯えているのは事実なのだから。
「うん、大丈夫だよ。任せて」
さっきまでの僕だったらどういえているかわからない。さっさと逃げ出したかもしれない。でも、今の僕の魔力量とS2Uの協力があれば………
「S2U、いけるよね?」
『No problem.Boss』
S2Uのお墨付きだった。そして、そのお墨付きは間違いなかった。
近くに落ちた赤い炎の球たちは道路をえぐり、爆風を生み出していたが、僕の張ったサークルプロテクションの中は穏やかなものだ。直撃していたらどうなっていたかわからなかったが。
やがて、炎の球の影響が過ぎ去ったころにサークルプロテクションを解く。同時に僕は振り返って後ろに控えていた三人に話しかける。
「大丈夫だった? たぶん、何も問題ないとは思うんだけど……。あのね、今からちょっとだけ説明するんだけど―――」
「お兄ちゃんっ! 後ろっ!」
三人に向かって説明しようと思っていたのだが、それを遮るアリシアちゃんの声。その声は、どこか焦っているようにも見え、怯えているようにも見え、その表情は三人とも一
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