A's編
第三十一話 後
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つかり、コンクリートでできていたビルを融解させる。
少なくともその炎の球がコンロなんかで用意できる簡易的なものでないことが簡単に証明されたわけだが、嬉しいわけがない。むしろ、危険極まりないことであり、言いようのない危機感を持っていた。
「―――っ!」
このままでは、いつアリシアちゃんたちが巻き込まれるかわからない。それを言えば、なのはちゃんも心配だが、それ以上にやはり彼女たちが心配だ。
急げ、急げ、急げ、と僕は自分自身を叱咤する。しかし、その程度で速度が上がれば苦労はしない。
気持ちだけが逸り、しかし、速度は上がらない。近づいているのだろうが、しかし、それでも気持ちだけは逸ってしまうのだ。僕ができるんことは想像している最悪が起きらないことを祈るだけなのだが―――どうやら、あまり信心深くない僕は運には見放されたようだった。
闇の書が投げていた炎の球が僕が目的地としていた場所へ向かって数個飛んでいくことを確認した。もちろん、直撃ではないだろうが、それでもその付近に落ちただけでアリシアちゃんたちが危ないのは明白だ。
急げっ! 急げっ! 急げよっ!
危機が現実のものとなって、僕はさらに自分の身体に鞭を入れるように心の中で叫ぶ。
次の瞬間、歩くような速度で変化していた景色がまるで新幹線に乗った時のように一瞬で変化するようになった。
―――え?
自分自身でも現状を理解できない。気が付いたら僕の飛行速度が上がっていたのだ。少し落ち着いた後で原因を探ってみれば、不自然に上がった魔力量ともいえるだろう。僕が感じている魔力量は僕が常に感じている魔力量よりも大幅に上がっている。
だから、飛行魔法に使える魔力量も上がっている。唯一不安だった魔力制御だが、それもS2Uが支えてくれるため問題がないようだ。
「S2U、どうして僕の魔力が上がったかわかる?」
『Sorry.I can't understand』
だろうな、と僕は思った。まさか、危機的状況に僕の中に眠っていた封印された力が目覚めた、なんてどこかの友人のようなことは考えない。
原因がわからない変調というのは不安で仕方ないが、しかし、この状況的は利用できる。いや、利用しなければならないだろう。
「S2Uっ! 急ごうっ!」
『Yes, Boss』
制御は、S2Uに任せて、僕は空を飛ぶ。
僕がアリシアちゃんたちの場所に到着したのは、数秒後だった。
「お兄ちゃんっ!?」
空から降りてきた僕を最初に出迎えてくれたのは、聖祥大付属小学校指定のコートに身を包まれたアリシアちゃんだった。目を真ん丸にして僕を見ていた。
それは、程度は異なるが、アリシアちゃんの左右にいたアリサ
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