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リリカルってなんですか?
A's編
第三十一話 後
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、そのままにしている。

 クロノさんが装着していた黒いバリアジャケットを身にまとった僕はS2Uに対して、アリシアちゃんたちが取り残されたであろう場所を示すように命じた。

「ここか……」

 その場所は、いつもの帰り道だ。どうやら、そこから動いていないことを考えると、突然放り込まれた状況に呆然として動けないというところだろうか。理由はよくわからないが、動かないのであれば、幸いである。

「間に合ってよ」

 僕は祈るような気持ちでビルの屋上から飛び立った。

 しかし、間の悪いことに僕の飛行魔法は、『飛ぶ』というほど速度が出ない。少し早歩きをしている程度だろうか。それでも一直線に向こうに向かえるから早いのだけれども。

 僕は一直線にアリシアちゃんたちのほうへ向かいながら考えていた。

 どうして、エイミィさんたちは、僕に助けを求めたのだろうか、と。アースラは時空航行艦であり、転移魔法だって使えるはずだ。つまり、救助するためには僕の手助けは必要ないはずだった。それが、エイミィさんは、僕に向かってくれ、と言った。それ以上の何かがあるのだろうか。

「エイミィさんっ! どうして、アリシアちゃんたちを転移させないんですか?」

『私たちも避難させたいんだけど、その領域は私たちの領域じゃないの。あのなのはちゃんが戦っている闇の書が展開した領域なの。だから、私たちの魔法もそう簡単に届かないの』

 カタカタとキーボードを連続で叩くような音を立ててエイミィさんが答える。おそらく、その通りなのだろう。エイミィさんが作業しているのは、救うための手立てだと思いたい。

『でも、翔太くんに助けに行ってもらえば、S2Uを介して魔法が届くから避難もできるの。だから、急いでっ! 翔太くんっ!』

「わかりました。できるだけ急いでみます」

 事情を聴けば、なんとなく納得できる理由だ。しかしながら、この領域が封時結界に包まれていることは理解できていたが、まさかそれが闇の書によるものだとは気付けなかった。先ほどの疑念は正しかったということだろう。しかし、まさかクロノさんから借りたS2Uが万が一の護衛用以上に役立つとは思わなかった。

 ともかく、それをエイミィさんから聞いた以上は急ぐしかない。

 僕は前を見て、さらに速度を上げた。もっとも、早歩きの状態からジョギングになった程度だが。

『―――っ!? 翔太くんっ! ごめん、急いでっ! 闇の書の攻撃がそっちにっ!』

 突然、急いでいる僕に入ってくる物騒な念話。まさかっ!? と思って振り返ってみれば、確かに闇の書が今まで以上にありえない攻撃をしていた。

 直径が2メートルはあろうかという炎の球を投げつけるという攻撃方法だ。それらは流れ弾となって近くのビルにぶ
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