A's編
第三十一話 後
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ろうか。
誰かに連絡を……とは考えるものの誰に連絡を取るべきなんだろうか。
そんなことを考えている間にも戦いは激しさを増していた。
竜の襲撃を剣やハンマーで打ち払い落していくシグナムさんやヴィータさん。炎の息吹からなのはちゃんを守るように銀色の膜を張る犬耳のザフィーラさん。時折、彼ら三人の体を翡翠色の光で包むシャマルさん。そして、なのはちゃんが一番後ろに待機しながら空を切り裂く桃色の砲撃で一気に数多くの竜を落としていた。
どちらが有利なのか僕にはわからない。ただ、わかるのはなのはちゃんが有利なようにも、闇の書が有利なようにも見えないということである。
なぜなら、落とす一方で、次々と背後で竜が生み出されるからだ。数が減っているのか、増えているのかわからない。千日手とはこういうことをいうのだろう。この戦局を崩すためには何か一手が必要なのだろうが、僕にはその一手がわからなかった。
『…たくん、翔太くん。翔太くんっ! 聞こえる!?』
「エイミィさんっ!?」
なのはちゃんたちの戦いを見ながら、何か手はないだろうか、と考えている途中で、念話を送ってきたのは、疑惑の時空管理局に所属するエイミィさんだった。
『よかった……つながった』
心底安心したようなエイミィさんの声に答えていいものか僕は迷った。なぜなら、彼女も時空管理局の一員である。だが、一方で、僕としては彼女自身は信じられると、信じたいと思っていた。
「……そうですね、何とか無事ですよ」
だから、声は硬かったかもしれないが、僕はエイミィさんの念話に答えた。そして、エイミィさんも僕の声の硬さに気づいたのだろう。少し申し訳なさそうな声を出してきた。
『翔太くん、ごめん』
何を謝っているのか僕にはわからない。僕に危害を加えてきたことだろうか、はやてちゃんを傷つけるような発言をしたことだろうか、僕をだましたことだろうか、あるいは、そのすべてだろうか。
だが、そんなことは今は関係なかった。エイミィさんが連絡を取ってきた理由を知るべきなのだ。
「事情は後で聞きます。それよりも、何かありましたか?」
何かあったのか、というならば、現状が何かあった状態なのだが、エイミィさんがそれを理解していないわけがない。だからこそ、僕が無事であることを確認したのだろうか。
ならば、時空管理局は現状に気づいているということだろう。だとしたら、どうしてこの状態を放置しているのだろうか。あるいは、何か事情があって放置していると考えるのが妥当なのだろうか。
『うん。ひとつ大変なことが起きてね。翔太くんにお願いしたいことがあるの』
「………なんでしょうか?」
非常に怪しいことはわかっている。先ほど騙されたの
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