A's編
第三十一話 後
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それでも、と思ってしまうのは、僕の精神年齢が高いからだろうか。小学生のなのはちゃんに行かせて、大人の仲間入りをしようとしている年代の僕が見ていることしかできないからだろうか。
あるいは、女の子に行かせて、男の僕が見ていることしかできないというある種のフェミニズムからだろうか。
どちらにしても僕が無力だからだ。魔力ランクAであろうとも、この場では僕は魔法も知らない素人となんら変わりはなかった。
「だったら………」
え? と僕は彼女を見送ることしかできないことを悔しく思いうつむいている状態から顔を上げた。
「だったら、ショウくんが応援してよ。頑張れって。それだけで私はきっと強くなれるから」
笑って彼女は言う。僕の一言がきっかけで戦うなんて野蛮な戦地へと送る僕に笑顔で彼女は応援してくれ、という。ならば、僕はこれ以上格好悪くならないために、ぐだぐだと嘆く前にやらなければならないだろう。
「なのはちゃん、頑張って!」
ごめん、とは言わなかった。それは彼女の決意を無駄にしそうだったから。
最低限の応援しか言えなかったけれども、彼女は僕の応援を聞くとぱぁ、と向日葵が咲いたように笑い、うんっ! と本当に遠足に行くような返事をして、その身を翻して、まっすぐと守護騎士とはやてちゃんたちが戦っている方向へと飛んで行った。
僕は……僕は、それをただ見送ることしかできなかった。
◇ ◇ ◇
廃ビルとなっている屋上にフェンスが設置されたままなのは、まだここにテナントや会社が入っているときの名残だろうか。もしかしたら、ドラマのように屋上でバレーボールに興じるOLさんもいたのかもしれない。
それは、もはや想像の向こう側だ。仮に今でもそんな光景が残っていたとしても、こんな曇り空で、地獄絵図が広がる中、バレーボールに興じる強者はいないだろう。
そう、なのはちゃんが戦いの場へと向かってから状況は悪化していた。道路のアスファルトを割って飛び出した火柱。初めて見る女性(闇の書なのだろうか?)から発せられる魔力は異様で、異質で、強大なものだった。魔法を習っているとはいえ、まだまだ素人である僕でさえ途方もないとわかる魔力を持つ女性。それが闇の書だった。
そんな闇の書と戦っているのがなのはちゃんだ。
戦況は僕にはよくわからない。だが、最初に戦っていたシグナムさんたちと協力しているようだ。なのはちゃんが向こうに行ってから少しの時間は、なのはちゃんの魔力光しか見えなかったが、五分もすると前のようにシグナムさんたちの炎やハンマーが乱舞し始めていた。
心なしか威力やハンマーの大きさがなのはちゃんが向かう前よりも大きくなっているように感じられるのは気のせいだろ
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