A's編
第三十一話 後
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なるのだろうか。いや、だが、それはどういうことだ? クロノさんたちは封印させるために動いていたんじゃないのか? 僕を騙してまで暴走させる意味は……?
わからない。持っている手札があまりに少なすぎて。管理局―――クロノさんたちのいうことを信じて動いてきた僕には、裏切られたかも、という疑念がある以上、何の答えも出せなかった。
「―――ショウ君はどうしたい?」
「え?」
僕はなのはちゃんに問われて、思わずなのはちゃんのほうを向いた。
彼女はまっすぐに僕を見ており、その瞳はすべてを映すように澄んでいた。まるで僕の考えがそのまま映る鏡のように。
「あの子のこと」
あの子、とは今、目の前で暴走している闇の書とはやてちゃんのことだろう。
そうだ。僕がクロノさんたちに騙されたかもしれないなんてことは後で考えればいいことだ。今は、はやてちゃんをどうするか、だ。
「止めたい。うん、僕は彼女を止めないと……」
もしも、はやてちゃんが、闇の書に取り込まれて暴走しているなら止めないといけない。
はやてちゃんが、暴走による破壊を望んでいるとは思えない。どうしてこうなっているかわからないが。何をおいても現状に対応するのが先だろう。
こういう時に出てきそうな時空管理局のクロノさんたちがいないのは気にかかるが。いや、そもそも暴走させたのがクロノさんたちだったとするといるはずもないのだが。
そして、僕の答えを聞いたなのはちゃんは―――笑った。
にこっ、とどこか安心したように。しかし、少しだけ陰りが見えるようなそんな笑みを浮かべた。
「うん、そうだね。ショウくんなら絶対そういうと思っていたよ」
そういうとなのはちゃんは、白い靴に自らの魔力光である桃色の羽をつけて、空を飛ぶ。
今は僕の倍ぐらいの位置に立って、僕を見下ろしながらいう。
「あの子を止めてくるね」
まるで学校に行く、というような感じで気軽な声でなのはちゃんはいう。しかし、それが簡単なことではないことは容易に想像できる。今でさえ4対1なのに、はやてちゃんを止められる様子は見えない。あの襲撃者たちを一人で一蹴した守護騎士たちが、だ。
「ちょっと待って! 僕も―――っ!」
だから、思わず今にも飛び立とうとしているなのはちゃんを呼び止めて、自ら参戦しようと思っていたのだが、途中でなのはちゃんに首を横に振られて、自らの力量に気付いた。
一人で参戦しようとしているなのはちゃんに思わず反応して、僕も参戦しようと思っていたが、よくよく考えれば襲撃者にも対応できなかった僕が、参戦したところで戦力になるどころか邪魔ものだ。
だから、なのはちゃんも首を横に振ったのだ。
「でも……」
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