A's編
第三十一話 後
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緒だった。
何があるんだ? と思って、僕が振り返って確認できたのは、背中から羽を生やし、入れ墨を入れ、黒い服に包まれ、白い髪をなびかせた女性。間違いなくなのはちゃんと戦っていた女性だった。
「あなたがなぜっ!?」
さっきまで間違いなくなのはちゃんたちと戦っていたはずだった。それなのに、どうして彼女がそこにいるのだろうか。だが、問いかけたところで答えが返ってくるはずもなかった。代わりに返ってきたのは、僕に向かってかざされた掌だ。
「え?」
ぽわっ、と僕の身体が、黄色の光に包まれる。その感覚はまるで回復魔法を受けているようだが、同時に底なしの穴に落ちるような不安感も感じた。
「主が心を許した少年よ。主が求める少年よ。申し訳ないが、主とを同じ夢を見てくれないだろうか。主と同じ夢の中で過ごしてくれないだろうか。同じ闇の中で安らかな眠りを………」
僕は彼女が何を言っているのかわからなかった。ただ、わかったのは僕が何かされたことであり、彼女が言う主がはやてちゃんだろう、ということだけで、僕自身に起きていることは何も理解できなかった。
ただ、一つだけ理解できたのは、だんだんとこの世界で感じられていることが薄くなっていくこと、そして、だんだんとこの最中で眠くなっていることだ。
おかしいとは思いながらも僕は、この眠気に逆らえなかった。
―――あ、れ? おかしい、な。ねむっちゃ、ダメ……だ。
だが、僕の抗いもむなしく、僕の意識はまっすぐ暗闇へと落ちていく。夢の夢の世界へと。
意識が途切れる瞬間、最後に聞いたのは、「お兄ちゃんっ!」と叫ぶアリシアちゃんの声だった。
つづく
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