A's編
第三十一話 後
[2/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そんな気恥ずかしさを押し込んで僕はなのはちゃんに問う。
「なのはちゃん、はやてちゃんの行方を知らない?」
僕が先ほどまでの格好に心の中で身もだえしていることを知ってか知らずか、何事もなかったようになのはちゃんは立ち上がると視線を僕から見て右手に向けた。
僕もつられてなのはちゃんと同じ方向に視線を向ける。
視線の先では、まるで花火のように火花を散らしながら交差する五つの人影があった。
火を噴き、大きなハンマーを振るい、白銀の鎖が空を舞い、翠色の光が人影を包む。そして、最後の一つの人影はそれらを捌くように紅と黒の光で相手をしていた。
「あそこにいるのが、八神はやてだよ。ショウくん」
「え? でも……あの人影は……」
そう、はやてちゃんとは似ても似つかない人影。彼女は、あんな白髪ではないし、背中に翼のようなものを生やしていない。なにより、彼女は魔法を使えないはずだ。
だが、僕のそんな反論をさえぎるようになのはちゃんは続ける。
「でも、間違いないよ」
どこか確信を持ったような声。もしかしたら、なのはちゃんには何か別の方法があって彼女を識別する方法を持っているのかもしれない。
最初は信じられなかったはやてちゃんの変化した姿だったが、よくよく考えてみると一つだけ彼女をそうさせる要素が見つかった。
つまり『闇の書』だ。
封印すると言っていたが、あれから僕は気を失ってしまったので、状況が把握できない。しかし、闇の書とは古いデバイスのようなことを最初の説明で言っていたこともあって、もしかしたらバリアジャケットのように姿を変化させられるのかもしれない。
しかし、ここでわからないのは、なぜ彼女たちが戦っているか、だ。
「どうして、はやてちゃんは守護騎士の人たちと戦ってるの?」
そう、目をよく凝らしてみれ見れば、戦っている人たちも僕は見覚えがあった。あの襲撃のときに自らを守護騎士と名乗っていた人たちのことである。そして、同時にはやてちゃんの家族でもある。
名前は、シグナムさん、ヴィータさん、シャマルさん、ザフィーラさんだっただろうか。
彼女を護るならわかる。だが、彼女たちは今、間違いなくはやてちゃんと思しき人物に攻撃をしているようにも見える。
「……力の暴走だよ。今のあの人は、封印が解かれて、有り余る力で暴走してるみたい」
「それは……」
「レイジングハートが教えてくれたよ」
どうして、レイジングハートはそんなことを知っているのだろうか。
いや、それよりも問題は、闇の書が暴走しているという一点だ。つまり、クロノさんたちは封印に失敗したことになる。いや、僕が記憶を失う直前の言動からすれば、失敗させたということに
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ