亡国(やみ)の欠片
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
8月25日。
本来今日は正式公開された演習本番日……ですけど未だに各国の艦隊、IS部隊に動きはありません。
赤道連合、アジア、米国、ロシア………4勢力がソロモン沖で集まっているだけの映像が朝からずっと流れています。
あの後、ウィンザー様が急遽帰国して直ぐEU勢の艦隊はそれに追従するようにほとんど引き上げました。理由は各国それぞれありましたが根本は『国を空けていられなくなった』から。
国元で何かが起こったのは間違いありません。ただその起こったことが合同演習からEUの全艦隊を引き上げさせるほどのことだということ。
こうなると悪い予感しかしません。いえ、確実に悪いことが起こったのでしょう。
私はテレビに映し出される演習前の映像を見てため息をついてしまいます。
EU艦隊は観測用の艦を2隻残し全部撤退しているため、参加総数は40隻前後。それでも参加ISは40機近く世界最大級の演習には変わりありません。
テレビの映像を消すと部屋の中に静寂が戻ります。
後3日でまた日本に行くというのに、不安ばかりが積み重なりますね。
うん、電話?
机の上の携帯電話が着信を告げてきます。私はベッドから立ち上がると着信相手を確認……
「クロエ?」
何の用でしょう? 今クロエは演習で『ハーバーブリッジ』にいるはずですけど……
「はい、もしもし?」
『お! ようやく出たな!』
何故か分かりませんが元気いっぱいのクロエの声が電話越しに聞こえます。というより音割れしてるんですけど……声大きすぎです。
「で、何か用ですか? クロエって今演習中じゃないんですか?」
『いや、カルラいつ日本に行くのかなーってな。ちなみに私の出番は後10分後だ』
そんなギリギリに電話掛けてこないで下さいよもう。背後の音も艦の中だからなのかすごいうるさいですし……あ、だからこんな声大きくして話してるんですね。
そう思いつつも私は卓上カレンダーの丸のついた日にちをクロエに伝えます。
「予定では3日後の28日に日本に行くつもりですけど」
『あー、やっぱダメか』
「何がですか?」
ダメ? 28日にクロエ何かあるんでしょうか?
『いや、見送りいけっかなーとか思ったんだけどな? こっちは事後処理とかなんやらの関係で5日間くらいは『ハーバーブリッジ』配備な訳だよ』
「その気持ちだけで十分ですよ」
ふふ、クロエはこういうところ気が効きますよね。この気の利かせ方をもう少し普段の大雑把なところに生かせたら……
『お、そうだ! 乗る飛行機分かったら教えてくれ! 哨戒時間合わせて見送りに……』
「仕事してください!」
仕事中に私用で抜けないで下さい! 今艦配備な
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ