暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
SAO編
episode6 ケジメ2
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 宙に舞うのは、ザザの、右手首。
 ぎりぎりで成功した《部位欠損ダメージ》に、ザザががっくりと崩れ落ちた。





 結果。
 討伐戦は、惨憺たる結果となった。
 死者は、三十人を超えた。

 その一因は、間違いなく俺だったろう。本来は『武器破壊』を俺とキリトで連発し、敵を無力化するという作戦だった。勿論、『閃光』は前もって俺に、乱戦となれば自身の裁量で動いていいとは言っていたが、俺がザザを追い続けたのがこの惨劇の理由の一つなのは、言うまでも無かった。

 奴らの持っていたアイテムは、全て回収された。

 その中には、リズベットの最高傑作だったと思われる、ソラが装備していた金属鎧もあった。そして、ぼろぼろになってしまった、しかしそれでも途方も無く美しいと思える、一本も細剣も。だが俺
は、それらをすべて『攻略組』に任せた。俺はもう戦後処理の間のその話に語るのも億劫だったし、なにより俺には、これを手にする資格があるとは思えなかったから。
 そして結婚指輪たる《ブラッド・ティア》は、誰のアイテムにも見当たらなかった。

 HPゲージを真っ赤に染め、脳の酷使で明滅する意識を保ちながら、力尽きて転がった床の上で俺は思った。俺はソラに、何ほどのことができただろうかと。ソラの願いを、俺は果たすことができただろうかと。ソラの、ソラにとっての『勇者』として、俺はふさわしい役目を出来ただろうかと。

 いいや。俺は、出来なかった。

 この戦闘で、ラフコフから二十一人もの死者が出た中で、俺はただの一人も殺せなかった。
 俺の非力なアバターでは…いやそれ以前に、「奴らを殺す」という意志が足りなかったのだろう。

 俺は、奴らを一人だって殺せなかった。
 ソラの仇を、一人だって取ることができなかった。

 ぐるぐると回る思考が闇に落ちる直前、頬にもう枯れたと思っていた涙が伝うのを感じた。



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