SAO編
episode6 ケジメ2
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俺のHPが一割前弱減るごとに、ザザのエストックが一本砕ける。
その一種の均衡状態が崩れたのは、『攻略組』から突然聞こえた悲鳴、そしてそれに続く、モンスターのそれとは違って甲高い響きを放つ、ポリゴンの爆散音だった。何度聞いても決して慣れることの無い、あの音。
プレイヤーの、爆散音。
直後、盛大な哄笑が洞窟に響く。『攻略組』の怒声、止めるような悲鳴が聞こえ、エフェクトフラッシュが光る。そしてまた、ポリゴンが砕ける不吉な音。上がる金切り声。
「……っ」
言うまでもなく、どちらか…あるいは双方に、死者の出た証拠だった。確かにそれは俺の心に鈍い痛みをもたらしたが、体が動かなくなるほどではなく、相対するザザに隙を見せることもしなかった。戦局を揺るがすことになったのは。
「きさまああああああっ!!!」
「ハアハハハッハハ!!!」
「ぶっ殺してやる!!!」
「ハハッ、死ねっ、死ねえっ!!!」
完全な、戦線の崩壊。
ほぼ全員が程度の差はあれ混乱…恐慌状態へと陥っていたのだ。ラフコフの面々に関して言うなら、それはあるいは「狂乱」と呼ぶべきだったか。今まで維持されていた戦線…つまりは『攻略組』とラフコフの境界が崩れ、完全な乱戦となったのだ。
「っ、らあっ!」
「……クク、ククッ!!!」
俺もザザも、この乱戦の中では互いだけを狙い続けることはできない。
だが、乱戦は俺の最も得意とする戦闘だ。横から切りかかってきた男の剣を軽くいなし、その横腹を《スライス》の手刀で打つ。《カタストロフ》の恐るべき武器破壊ボーナスによって剣は一撃であっさりと砕け、男はそのまま走り抜けて混戦の中へと消える。すぐにザザへ目線を戻すと、奴のエストックが『攻略組』の男の鎧の隙間を貫いているところだった。凄まじい勢いで減少していくHPに男が悲鳴を上げる。
「ザザぁっ!!!」
咄嗟に走り込み、ザザのエストックの根元に、《エンブレイサー》の貫手を放つ。既にあらかた削っていた耐久値がゼロになり武器が爆散、と同時に解放された『攻略組』の男が震えながら逃げていく。ザザが、恨めしそうに俺を見る。右手が素早くストレージから次のエストックを抜き放つ。
「…チィッ…」
だがその剣は、俺より先に脇から斬りかかった、別の男へと突き刺さった。この隙に再び飛びかかろうとするが、背後に気配を感じて咄嗟に横に転がり、放たれた長大なランスを回避する。その回転の遠心力を乗せた《ゲイルナックル》で打ち、耐久値を削ったところで再びザザに向き直る。
いける。
確かに奴もかなり乱戦に慣れているようで、闇雲に斬りかかられていてもなおHPは殆ど減っていない。だが、その戦闘センスは、このSAO開始以来ずっと乱
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