SAO編
episode6 夏の日、午前三時2
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
広間は、一気に混乱に包まれた。
明らかに、奴らが襲撃を予測して仕掛けたであろう、罠。
しかし奴らの罠は、この視界を遮る白煙だけでは無かった。
「うわあ!?」
「足が、足がっ!!!」
白煙と同時に発動したのは、俺が直前に見た安全エリアに設置されていた無数の罠…トラバサミのような、足を挟んで固定し、継続ダメージを与えるものだった。
本来安全エリアには、Mobのポップが無いだけでなく罠なども存在しない。恐らく俺の知らない…というか、誰にも知られていないエクストラスキル…『罠設置』スキルとでも言うべき技で、奴らが設置したのだろう。
俺達から逃げるのではなく、俺たちを迎え撃つために。
完全に罠の索敵を怠っていた俺達の落ち度だが、こんな低層フロアのダンジョン、『攻略組』の面々が油断していたのも仕方がない。本来存在しない罠によって、数人のメンバーが動きを止められる。
そして罠の嵐は、まだ収まらない。
「っ、な、なんだ!? HPがっ!?」
「っ、落ち着いて!恐らく貫通継続ダメージと、毒の複合罠よ! 打撃系武器の方、すぐに捕まった仲間の元へ! 罠を破壊して!」
「だ、だめだ! この煙でカーソルが出ない! 誰がどこだか、」
「おい『閃光』!」
「シド!?」
かろうじて確認していた場所に一つに走り込むと、そこにいたのはアスナだった。純白のブーツが無骨なトラバサミに挟まれており、そのHPゲージが徐々に減少している。『HP減少毒』に
『貫通継続ダメージ』だ。
この手のトラップを破壊する方法は二つ。
一つは今アスナが指示しており、自身も実行しているように、罠自体を攻撃して破壊する方法。彼女の手にあるのはこの手の隙間の多いオブジェクトとは相性最悪の細剣だが、自前の技量で以て正確に刺突を当てて耐久値を削っていく。だがこの方法では、例え最も相性のいい打撃武器でも十秒以上はかかるだろう。
それよりも早い破壊手段は。
俺の手が、素早く罠を数回のクリック。
それだけで、あっさりとトラバサミはアスナの足を解放した。
「っ、あ、ありがとう、シド…っ」
「礼は後だ! 俺はどうすればいい!?」
既にマスターに到達した『罠解除』スキル。おそらくもともとの俺のスキル構成が探索特化だと知らなかったのだろう、驚いた様子のアスナに怒鳴る様な口調で問いかける。
俺はチームプレイが苦手だ。煙の中何がどうなっているか分からず、部屋中央付近では罠に囚われたのだろうメンバーの悲鳴が聞こえ、更にはキリトの叫んだように後ろからの奇襲をかけてきたラフコフメンバーとの戦闘音まで聞こえる。
こういった状況でどうすればいいか分からないために、的確な指示を出せる人間が必
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ