SAO編
episode6 夏の日、午前三時
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八月の、なんの変哲もない暑い一日。だがその一日が、俺にとって、とても大切な一日になることを、俺は分かっていた。そして恐らく、アインクラッドにおいても大切な一日になるのだろう。記念すべき、とは到底言えるものではないが。
(なにせ、俺の命日になるかも、だからな……)
冗談でも誇張でもなくそう思う。『攻略組』は、確かに強い。今日この日…『ラフコフ討伐戦』のために依頼、或いは志願で集まったこのメンバーのレベルは、俺のそれと比べても十分高いだろうし、人数は五十人規模。量も質も、間違いなくこちらが圧倒しているだろう。
だが、俺はそれを分かっていながらも、懸念が拭えなかった。
PoHが、最後に見せた視線が俺の頭から離れない。
あの恐怖と絶望が、俺を未だに縛っている。
(PoHが目の前に現れたら、俺は戦えないだろうな……)
PoHと正対し、あの時を思い出してしまえば、もう俺は震えが止まらないだろう。座り込んでしまえば、この集団戦、今度こそ奴が俺を生かしておく意味はない。それに、懸念は首領であるPoHだけでは無い。
他の二人…ザザとジョニーも、そしてあの戦いで死んだダンカンも、その瞳に異常な狂気を宿していた。それはいつ、どこで、いかなる手段でも殺し合うことを厭わない、狂った…しかし研ぎ澄まされた、断固たる、意志。
対する『攻略組』は、あくまでも敵を降伏させるという…極端な言い方をすれば、理想に甘えた…考えで動いている。メンバーの中には、これだけのレベルが有れば無血投降すら可能だと本気で信じている奴もいるのだから。
(まあ、なるようになる、か……)
俺は奴らのアジトが発見された、低層フロアのダンジョンを進みながら、虚空を見つめながら考える。真夏とはいえ時間は深夜零時、その風は涼しく、どこか心を休ませてくれるように感じた。この際、『攻略組』の考えは、正直俺にはどうでもよかった。
俺の狙いは、一つだけだったから。
そして進むこと数分。
辿り着いた安全エリア…奴らの根城には。
誰一人としてラフコフのメンバーは居なかった。
◆
先頭を行っていた偵察の一人によって奴らの不在を告げられ、『攻略組』の面々が急行した先は、見事なまでにもぬけの殻だった。同時に、ざわめき出すメンバー達。数人の顔に、明らかな恐怖と動揺が生じる。慎重に慎重を期して行われた奇襲が、どこからか情報が漏れていたのだ。
「奴らはどこだ!?」
「くそっ、アイテム類すらねえ!」
「ったく、肩透かしかよ…」
口々に不平を言うメンバー達。ある者は怒り、ある者は武器を下ろし、ある者は呆れたように額を抑える。だが、俺はそんなものは見ちゃいなかった。
俺は、その空間に、何かを感
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