第四十一話
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ンスター、《ヴァンパイア・バッツ》の群へとクナイによる乱れ撃ちを敢行し、生き延びた《ヴァンパイア・バッツ》はその習性から暗闇に逃げていった。
「うむ、そうか」
《ヴァンパイア・バッツ》を倒した時の表情から察するに、コーバッツもモンスターの存在には気づいていたようで、何事もなかったかのようにそのまま部下を引き連れて探索へと戻る。
ここまで来るとこのダンジョンの主力モンスター、《リザートマンロード》の群生はあまり見られなくなり……《血盟騎士団》の連中と来たときは、運悪く群れと遭遇したが……ボス部屋へと一直線と言ったところか。
そして、ほどなく。
周囲の状況にそぐわないほどに、巨大な存在感を持った――事実、扉自体が巨大だが――漆黒のボス部屋の扉へとたどり着いた。
俺も《血盟騎士団》の連中と来たのはここまでであり、部隊の消耗も考えてパーティーリーダーであったゴトフリーはボスとの戦闘を断念し、主街区まで戻ってしまったために俺もこれ以上は進んでいない。
「コーバッツ。74層のダンジョンの本道はここで終わりだ。撤収するか横道に行くか、どうする?」
ボス部屋の前でずっと立ち止まっていてしまうと、その層に出てくるモンスターとは比べものにならないレベルのモンスターが、わんさか背後から出現するようになっている。
これは遠距離からボスをちくちく攻撃出来ないようにしたものだろうが、それを知らない時に『モンスターが出ないから』という理由で一休みをしていたところ、酷い目にあったことから記憶に鮮明に残っている。
「ご苦労だったな傭兵。依頼はここまでだ、報酬を受け取れ」
コーバッツの言葉と共にトレードウィンドウが表示され、依頼を受ける時に取り決められた金額が表示されていたが、撤収でも踏破を続けるでもなく『依頼はここまで』というのはどういうことか。
コーバッツが言わんとしていることについては、俺は少し察しがついていた……信じたくはないが。
「コーバッツ……今からボス攻略をする気じゃないだろうな。この疲労度や装備じゃ、ちょっと見て逃げるなんてことは出来ないぞ!?」
「それは私が判断する。たかが傭兵である貴君が判断することではない!」
――こいつは本気だ。
何故かなんて理由は知らないが、何を言ってもコーバッツは今からボス攻略を始めるだろう、そんな気迫に満ち満ちている。
だが、ボス攻略を気迫だけでどうにか出来るというのであれば、俺たちはもうこの浮遊城になんていないだろう。
メンバーの練度もスタミナも情報も足りないこの状況のまま行けば、《軍》のメンバーは必ず死ぬ。
よしんば攻撃パターンを掴むのに専念すれば、それぐらいは掴めるかもしれないが、その場合でも必ず死人が出る。
「……
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