五十 攻防戦
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戸惑うより先に、サスケの身を襲ったのは恐怖だった。
本選試合で目が合った、あの眼。人間のモノでは無かったあの眼が、今、目の前にある。
(……あの眼だ…ッ)
身が竦む。隠しようもない恐れがサスケの反応を鈍らせる。
瞬間、我愛羅が襲い掛かった。
人間技ではないくらいの速さと力。辛うじて避けたサスケの耳元を風が切った。
木々が撓り、突風が沸き上がる。
「…俺が怖いか?」
咄嗟に木の陰に隠れたサスケへ、我愛羅が挑発の言葉を投げる。
「この俺の存在がァ!!」
それは否定されるのを待ち望んでいるかのような、心の底からの叫びであった。
本選会場。その中で明らかに次元の違う闘いを繰り広げているのは、一際高いやぐらの上。
【穢土転生】の術者である大蛇丸が施した札付きクナイ。それを埋め込まれた初代火影と二代目火影は、意思を持たぬ殺戮人形と為って三代目火影たる猿飛ヒルゼンを追い詰めていた。
「【火遁・火龍炎弾】!!」
龍の如き炎が空を切る。初代と二代目に襲い掛かる、火を吹く龍。
龍が身を捩るたび、火の海と成す高楼。熱を帯びた瓦が融け、辺りが焦土と化す。
「【水遁・水陣壁】!…【水遁・水衝波】!!」
屋根から湧き上がった水の壁。ヒルゼンの龍を打ち消し、尚且つ攻撃に転ずる二代目。
【水陣壁】にて空中に漂う雫を掻き集め、打ち上げた水柱。
水滴を迸らせる柱はそのまま波となってヒルゼンに押し寄せる。三代目を呑み込まんと迫る奔流。
「【土遁・土流壁】!!」
頭上から押し流そうとする津波。その流れを、天を衝く勢いで造り上げた強固な壁が阻む。
ヒルゼンによって逆に受け流され、高楼から滴り落ちる滝。流れ切らずにやぐら上に留まった波は、火の海だった焦土を覆い尽くす。
絶壁に打ち寄せる波。正に海と化したその場をヒルゼンは見下ろした。自らが造った岩壁から身を投げ出す。
水面に着地したヒルゼンの足下で飛沫が撥ねた。
走り来る初代。そのあまりの速さに水面が真っ二つに裂ける。飛び散った水飛沫は波となり、海を分断する。
迫る初代目掛け、ヒルゼンの口が火を吹いた。瓦でさえも融かす炎の弾丸。
だがそのどれもが初代によって弾かれる。
一端退こうとヒルゼンは絶壁を駆け登った。しかし今度は二代目の水の弾丸が壁を突き崩す。
絶え間ぬ攻防。息をもつかせぬ戦闘は結界傍で控える木ノ葉の暗部達の肌を粟立たせる。
「御二人相手ではやはり堪えますな…ッ」
木ノ葉に存在する術の全てを知り扱う『プロフェッサー』と呼ばれたヒルゼンは息を荒げて呟いた。
焦点の合わぬ双眸で襲い掛かってくる初代
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