28,月夜の下で
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な人?」
恋人、とはなんとなく聞かなかった。
クロウの顎がユックリと深く引かれる。
「俺は、その馬鹿のために死んでも生きなきゃいけない。そう思ったら戦うのが恐くなった。俺は死に寄りかかって立ってるフリをしてた大馬鹿野郎だ」
背を向けたクロウは今もきっとあの壊れた笑顔を浮かべているんだろう。
強がろうとして失敗して、本当はきっと寂しくて恐がっている。
攻略組は住む世界が違うと思ってたけど、きっとなんにも変わらない。
みんな恐くて不安で、それでも生きようと必死なのが攻略組なんだ。
ケイタは意志力なんていってたけど、本当にそのとおりなのかも知れないな。
「じゃ、俺は行くわ。タッチ交代の時間だ」
そう言ってクロウが歩き始める。同時にやってきたのは、黒くて幼いシルエット。
手が冷たい人は心が温かいように。全身黒一色のこの子は、もしかしたら心の芯まで優しいんじゃないかな。
話してみよう、そう思った。
弱虫なことも、生きたいことも、全部全部。
両頬に残っている涙の跡を拭い、私はゆっくりと息を吸い込んだ。
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