6 「仲直りは案外単純なもの」
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ゃないの!!!!」
「へ?」
「このあたしが! ハンター候補卒業試験発表の午後! あんたん家に言って! 直々に! 誘ってやったというのに!!」
ズガンズガンと立ち上がり、ドスンドスンと近寄って、鼻息荒く襟元をふん捕まえたエリザが首をガクガク揺さぶりながら叫んだ。そうとう恥ずかしい過去だったのだろう、相変わらず顔は真っ赤に染まったままだ。
「あんたは恥を忍んで誘ったこのあたしの申し出を! 『えーやだやだ』、と軽く流し!! まさか断られると思わなくてポカンとしたあたしの目の前で! 家の! ドアを! 音を立てて! 閉めた!! きぃーー!! 思い出すだけで腹立たしい! だからあたしは決めたのよ! ソロでもあんたに勝ってみせるってね!!」
ところが、それに対するリーゼロッテの返事は、実に淡白なものだった。
「……わたし、そんな会話去年したっけ?」
「………………………………は?」
「ごめんごめん、あの時もう試験でくったびれちゃって! 家帰って即行寝たと思ったんだけど、ひょっとしたら寝る前にエリザと喋ったかも」
「……」
「きっと眠すぎて何も考えずに拒否した感じですニャ。エリザさん。申し訳ないニャ。ご主人のオトモアイルーとして謝るニャ」
「1年間ムキになって頑張ってたのだって無駄にはならないニャ。元気出すニャ、ご主人」
左右からぽんぽんと肩を叩かれ、放心状態のエリザは限界値に達したのか、
「いや―――――――――!!!!!」
叫ぶと埃を巻き上げながら階段を駆け上っていった。バタンッとドアが勢いよく閉まる激しい音。
「……あー、今ちょっと心の整理をつけてるところニャ。もうちょっと待ってあげて欲しいニャ」
「あ、いや、わたしの方こそなんかすごく申し訳なくて……」
「こちらこそだニャ。でも多分パーティのお誘いの件は受けるニャ。ウチのご主人、口では色々言うけど、根は優しいニャ。わかってあげて欲しいニャ」
「いえいえ、これからよろしく。改めまして、リーゼロッテ・マインです。それからオトモアイルーの…」
「ハーヴェストニャ。武器は爆弾ニャ」
「改めましてニャ。エリザ・ヴェローナのオトモアイルーのチェルシーニャ。武器はブーメランニャ」
そうして当事者約1名がいないまま、パーティの自己紹介は終わったのだった。
エリザが髪をかき乱しながらとぼとぼ1階に降りてきたのは、それから30分後のことだったとか。
「えー、こほん。それで、あの男のことだけど。リーゼ、あんたあの男が寝たあとどうしたか覚えてないわよね」
「うん。寝ちゃってたから」
「はぁ…ほんと、なんであの状況で寝れんのかしら……。あのあと結局あいつとメラルーは寝たまま。渓流をもうすぐ降りきるっていうときにあの黒い飛竜の鳴き声…だと思う
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