泥棒撃退マニュアル 安全な所で大声を上げて騒ぎましょう。
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
隻という約300隻の艦艇がいるのだ。
いくら高速戦艦といえども、この数には勝てない。
「フェザーン船団、ワレンコフ代将相当官より近隣艦艇に向けて通信。
『臨時指揮を取る事になったワレンコフ代将相当官である。
我が方は巡航戦艦一隻および巡航艦二隻、駆逐艦二十隻を擁して敵戦艦に対して攻撃に映る。
近隣艦艇はこれに合流されたし』」
この通信が全方位でされた事で、ヤンは勝利を確信した。
暗殺者はそれゆえに身軽でないと暗殺行為が行えないからだ。
同盟衛星網を回避したにもかかわらず、単独偵察航行していた駆逐艦を排除した事で、敵艦の数が多くない事はヤンの予測の範囲内にあった。
だから、こちらの手札を晒せば彼らは撤退すると踏んだのである。
「ワレンコフ代将相当官も中々できるお方みたいですな。
フェザーン船団はまだ集結し終えてないでしょうし」
敵センサー外からの全回線通信だからこそ、このはったりには効果がある。
そして、それに気づいたヤンが手札をレイズする。
「准尉。
フェザーン船団に全回線で通信。
『第十偵察隊司令部の命により、貴官の指揮下に入る』と」
「了解。
他の艦も次々と指揮下に入る通信を送っています。
送ったのは現在巡航艦一隻と駆逐艦八隻」
これで、敵には巡航戦艦一隻、巡航艦三隻、駆逐艦二十八隻に見えるはすだ。
最新鋭の高速戦艦でもこれには勝てない。
そして、このハッタリに帝国軍は降りた。
「敵高速戦艦反転しました!
それとは別に、敵駆逐艦三隻がこっちに向かってきます!」
「帰りがけの駄賃代わりという所か」
准尉の報告にヤンがぼやく。
おそらく、向こうのセンサー内にいるこの船が単艦であるのを感づいて排除を命じたという所だろうか。
だが、それはモニター上のソヨカゼV39正面に現れた二百発の交点によって失敗に終わるだろうと確信していた。
「前方の味方駆逐艦より通信。
『こちら、駆逐艦アッカド99艦長ラン・ホー少佐。
貴艦を支援する』以上です」
単艦行動していたという事は左右に哨戒線があった訳で、この船が襲われたという事は左右どちらかの哨戒線の船が襲われていないと事を意味する。
ジャミング時にヤンははなから残っている味方の船のほうに船を向けていたからこそ、今の支援がある。
その効果は敵駆逐艦が駆逐艦アッカド99のミサイルを捕らえた時にてきめんに現れた。
包囲される前にと敵駆逐艦三隻も転進し逃走に移ったからだ。
「どうやら、峠は超えたようですな」
パトリチェフ副長の声に、全員から安堵のため息が漏れる。
ヤンが帽子を脱いで頭をかきながら戦闘体制解除を告げた。
「第一種戦闘体制解除
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ