泥棒撃退マニュアル 安全な所で大声を上げて騒ぎましょう。
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師はこのミサイルによる遅延攻撃の名手だった。
特に巡航戦艦などの高速艦艇を主体とした少数艦艇で帝国軍前に陣取ってさっさと逃げ出し、追撃に移った帝国軍艦艇をミサイルの殺し間に誘導する『ステガマリ』戦術は現在でも帝国軍を恐れさせるぐらい。
だが、この『ステガマリ』がどういう意味なのかは故人となった人形師以外には知る者はいない。
更にばらまかれた機雷だが、ある程度の移動性を持っており自動的に薄く広がるように設定されている。
「ジャミング解除!」
「了解。
ジャミング解除します」
准尉の声で一連の作業が終わると、敵高速戦艦のモニターには広がりつつある機雷原と敵のいない方向に発射されたミサイルと、ジャミングを継続しているらしい何か分からない八つのものが映っているはすである。
進路がそれてミサイルと共にずれていくソヨカゼV39はこれで敵の応対を見極めないといけない。
待つには長い、長い時間が過ぎた。
六時間と少したった時、ヤンの取った策の結果が露になる。
「敵高速戦艦機雷原に接触しました!
敵駆逐艦と共に砲撃によって機雷原を突破してゆきます!」
こういう時に疲れを知らないアンドロイドは便利だと思いながら、准尉の声で交代で休憩に入っていたクルー達も直ちに持ち場に戻る。
「准尉。
状況を」
艦長席についたヤンのモニターに即座に状況が移される。
砲撃数と破壊された偵察衛星のデータから、帝国軍は高速戦艦一隻に駆逐艦八隻。
思った以上に多いとヤンは思いながら、ヤンは指示を出す。
「戦術長。
ミサイル反転。
機雷原に向けて飛ばすんだ。
准尉。
全方位、全回線で敵戦力のデータを発信し続けろ」
「了解!」
「了解」
これが、ヤンがパトリチェフに言った嫌がらせの正体である。
何の事はない。
泥棒に向けて、安全な場所に向けて「泥棒!」と近所に叫ぶのとさして変わらないのだ。
だが、泥棒にとってこれほどいやな手は存在しない。
当たり前だが、泥棒はものを狙うのが仕事なので、ばれたら身の安全を図る為に遁走するのだ。
問題は、相手が泥棒ではなく暗殺者であった場合で、あくまでワレンコフ代将相当官を狙うかという所だが、それも低いとヤンは見ていた。
「第十偵察隊司令部より返信!
『近隣艦艇を集結させて迎撃せよ。
近隣艦艇の最上位者であるワレンコフ代将相当官に一時的に指揮権を付与する』そうです!」
実は、この宙域にいる艦艇数を比較すると、同盟側は戦艦一隻、巡航艦二隻、駆逐艦240隻に、フェザーン側の巡航戦艦一隻、巡航艦二隻、駆逐艦二十隻、輸送船二十隻が加わる。
という事は、戦艦一隻、巡航戦艦一隻、巡航艦四隻、駆逐艦260隻、輸送船二十
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