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銀河英雄伝説 アンドロイド達が見た魔術師
泥棒撃退マニュアル 安全な所で大声を上げて騒ぎましょう。
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「さてと、あの船団にあったブランデーと紅茶葉を宇宙の塵に変えるのは惜しいから手を打たないといけないのだが……」

「何かあるんですか?
 艦長?」

 こういう時のパトリチェフ副長はあえて何もしない事で、トラブル時に備えている。
 艦内で被弾による応急処置などは副長の仕事になっているが、艦によっては艦長と副長の仕事が逆の所もある。
 要は、艦長と副長でオフェンスとディフェンスを分けて行っているという所が大事なのだ。

「准尉。
 現状の戦力で、帝国高速戦艦とフェザーン船団が交戦した場合のシミュレーションを出してくれ」

 自分達が生き延びるカウントが始まっているのに、タイムロスなしで先の事をモニターに出せるあたりはアンドロイドだなとなんとなくヤンは思いながらモニターを眺める。
 八割以上の確率でフェザーン船団の全滅が予想され、残り二割は輸送船全滅の果てに巡航戦艦が逃げ延びた場合であった。

「ジャミングが行われた後で、こっちに来る船は駆逐艦が一隻あるかないか。
 フェザーン船団にも駆逐艦がついていたからこれ以上はさけないはずだ。
 逆に言えば、こっちにどれだけ駆逐艦を引き寄せるかで、フェザーン船団の生存率が変わる」

 それは、助かった自分達が再度虎穴に入る事を意味している。
 だが、それをパトリチェフは笑ってこう言ってのけた。

「姫君を守る為に盗賊たちの前に出る騎士。
 浪漫ですな」

 古来から船は船乗り達の間で女性として扱われてきた。
 絶対窮地に飛び込む事が命令とはいえ、こんな冗談をこんな時に飛ばせる神経の図太さはパトリチェフ副長の才能と言って良いだろう。

「あいにく、御伽話よろしく騎士が盗賊を退治できないけどね。
 せいぜい邪魔してやる事だけさ」

 パトリチェフ副長が何か返そうとするのをモニター上のカウンターが邪魔をする。
 そして、誰もが黙り込み、アルテナ航海長の読み上げる声だけが響いた。

「カウント残り15秒。
 10秒……5.4.3.2.1.0!
 航路座標変更します!!!」

 艦が一番大きいために、最初に動いても変化が現れるのは最後になる。
 ソヨカゼV39の艦が既定進路から外れる前に、准尉の声が響く。

「ジャミング開始します!!
 デコイ射出!」

 既定進路上および、その放射線状にデコイがばら撒かれる。
 ほぼ同時にアッテンボロー戦術長が叫びながらボタンを押した。

「機雷およびミサイル射出!」

 発射されたミサイルは二百発。
 ビーム兵器がメインとなっている戦場では、ミサイルは敵に到達するまで遅すぎるのだ。
 とはいえ、このミサイルが廃れないのはワルキューレなどの単座戦闘艇対策とその誘導性の便利さにあり、故人となった人形
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