プロローグ
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「大変だッ!!」
小さな家の戸は勢い良く開かれると同時にその声が響き渡る。
田舎の村とは言え今は隣の強国、零と戦時である。
その慌しさにその場にいた僕と叔父は体を強張らせた。
「どうした!?敵か?!」
「いや、違う!!違うんだが・・・」
「じゃあなんじゃ!!はっきりせい!!」
第一声とは裏腹に何かにためらい言葉を詰まらせる村人に叔父は急き立てる。
「それが・・・」
村人と僕の目が合う。
嫌な予感がした。
「・・・豪統様が投獄された」
嫌な予感は的中した。
「お父さんが・・・?」
「何故あいつが捕まるんじゃ!?あいつが何をしたんじゃ?!」
「豪楊さん!!落ち着いて!!」
親の急な知らせに頭が真っ白になる。
その間も話が進んでいく。
「わしも聞いただけなんじゃ!!豪統様が軍への食料の徴収を断ったために謀反を疑われてそれで・・・」
「なんと・・・」
「豪統様はこれ以上ワシらを苦しません為に捕まったんじゃ・・・」
「あいつは国の為に自分の食さえ落として食料を送り続けたんじゃぞ!!それなのにあんまりじゃ!!」
「豪楊さん・・・わしらどうしたらいいんじゃろか・・・」
「とにかく県庁へ向かうぞ」
叔父さんが僕を見る。
「豪帯よ・・・家から絶対出るんじゃないぞ」
そう言い残して叔父さん達は家を離れた。
そして日が沈みかけ、空が夕焼け色に染まった頃、戸が開かれる。
しかし家を訪れた村の人から告げられたのは僕が期待したものとは違った。
叔父さんが捕まった。
村の人に連れられて県庁の前まで付いた時には人だかりができていた。
どの多さに僕からはその先どんな光景が広がっているのかがわからない。
「豪統様は悪くない!!」
「わしらには食うもんなんてもう無いんじゃ!!」
そんな怒声に近い声が飛び交っていた。
異様な雰囲気。
平穏で村のみんなが笑顔で談笑したり愚痴をこぼしたりしていた数週間前とは明らかに何かが違っていた。
僕はついに不安を堪えきれなくなり、叔父さんが出て行った後からずっと気になっていた事を口にした。
「・・・お父さんと叔父さんはどうなるの?」
「・・・」
返事は返ってこない。
大丈夫、明日の朝にはまたご飯を一緒に食べれるよ。
そんな言葉を期待していたがそれは叶わないと悟る。
それでも一度口に出してしまってからは堰が切られたように言葉があふれてくる。
「・・・ねぇ、おと」
『静まれ!!』
言葉を遮って怒声が夕空に響いた。
その怒声に一瞬で場が静まり返る。
『これより!!反逆者豪統ならびにそれに加担した狼藉者への刑を執行する!!』
場が一気にざわめき始める。
すごく
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