第十一話 閃光と弓兵
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時に私は、背後に引っ張られるような感覚が私をそこから切り離す。
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「……夢?」
私は眼を開きその場を見回す。
辺りはすでに明るくなっており、木々からは光が差し込んでいる。
私は起き上がると体に毛布がかけられていることに気付く。
どうやら誰かがかけてくれたらしい。
立ち上がるとするが体にうまく力が入らない。
何故かはわからないが体がものすごく重い。
どうにかして立ち上がるとそこは昨日自分があの狼と戦った場所だ。
そして、あの紅い外套の男と出会った場所でもある。
巨大な黒い狼、紅い外套の男、あれはすべて夢であったのだろうか…。
「やれやれ、ようやくのお目覚めか。ずいぶんとのんびりしたものだな」
「……!?」
私の隣に、突然人影が現れた。
真紅の衣で身を包んだ、浅黒い肌の青年。
忘れようもない。
あの黒い狼を倒し、強烈な印象を刻んだ彼は、
「あなたは…、一体何者?」
「ん?説明は聞いていただろう。それともそんなことを忘れるほど君は記憶力が悪いのかね?」
何かと鼻に付く言葉で目の前の男は軽口を叩いてくる。
私はそんな男の態度にムッとしながらも、気を失う寸前の記憶を確認する。
確か何処からか聞こえてきた声はこの男の事をなんと説明していただろうか。
「サーヴァント…」
「ほう、なかなか覚えがいいな。どうやら頭は悪くないと見た」
そうだ…。
あの空から聞こえた声はこの男の事を「サーヴァント」と言っていた。
それに私は第一層の攻略戦で、一度サーヴァントの召喚を見たことがある。
男は私に軽口を放つと、再び口を開き始めた。
「体の調子はどうだ?痛みがあるようなら今のうちにいってくれ」
「いえ…今は大丈…夫……」
私はそう言うがやはり体は重く、若干ふらつく。
「やれやれ、辛いのなら無理をする必要はない。聖杯戦争が始まった以上、主人の体の管理も重要な仕事になるからな」
男は私を支えるとそのまま地面に座らせる。
「ところで、君は聖杯戦争が何か分かっているのか?」
「…聖杯戦争?」
「…………まさかとは思ったが本当にただの素人とはな…」
男は再び溜息をつきやれやれといった感じで額に手を置く。
ここまで軽口を叩かれ、憐みのこもった眼で私を見つめる目の前の男に、私もさすがに声を荒げずにはいられなかった。
「あなたさっきから何なの!いきなり出てきて助けてくれたのは感謝するけど、あなたの態度は目に余るものがあるわ!!それに…」
「まぁ落ち着きたまえ。あまり怒鳴られてまた倒れられても困る」
「……っぐぅ……」
私の言葉を遮ると男は再び皮肉っぽく語る。
確かに私の体力はあまり回復し
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