第十一話 閃光と弓兵
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瞬間、黒き狼を囲んでいた剣がまとめて爆発する。
重なる爆音が狼の姿を包んで光の中に消し去った。
「剣は避けられるかもしれんが、爆発での不意打ちはどうだ?」
男はそう呟くが答えるものは誰もいない。
あまりの容赦のなさに私は唖然としてしまった。
最初からここまでのシナリオを立てた上で戦闘を進めていたのだろうか?
…おそらくそうだろう。
口元に浮かぶ満足そうなあのニヤリ笑いは間違いない。
“…グゥルルルルル…”
うめき声が聞こえた。
私はハッとなって爆発地点を見る。
爆発による煙の陰から狼がはい出てきた。
体中に傷を負い足元もおぼつかないが、HPバーはあと五分の一程残っていた。
「ふむ、やはり魔力供給がうまくいってないようだな。これも未熟なマスターを引いたせいか…?」
彼はそう皮肉めいた言葉を私にかける。
だが私は反論することも出来なかった。
ただあの黒い狼があれほどの攻撃を食らってもまだ生きていることに絶望しかけていたのだ。
「やれやれ、そんな顔するな。この程度ならすぐ終わる」
そう男は私に声をかけると、いつのまにかその手に黒い弓を握っていた。
“グルォォォォォォォォォォォォォォ!!!”
狼は傷ついた体で私たちに突進してきた。
その鋭い牙で私たちを噛み砕こうと歯を剥きながら。
男はそんな光景を目の当たりにしながらも冷静に弓を構える。
だが、番えているのは矢ではなくひと振りの剣。
その剣は紅く輝いてそして、
「赤原猟犬〈フルンディング〉!!」
男がそう言い剣を放つと、剣はぶれることなく狼の顔へ迫り、そして
“グォォォォ……”
額に命中した。
黒き狼は力なく倒れるとそのままポリゴン状になり消滅した。
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男は手に持っていた弓を下し、そして弓は魔法のように男の手から消えた。
「ふう、まあギリギリ及第点と言うところか。まだ始まったばかりだからな、今後に期待させてもらうようにしよう」
彼が何やらそんなことを言っているが、私はまだポカンとしたままその場に座り込んでいた。
「さて、立てるかね?」
男はそう言うと私の目の前に手を差し伸べた。
私はハッとして彼に視線を向ける。
「だ…大丈夫…です」
私は彼の手を取り立ち上がる。
まだ疲労が残っているのか少しふらつく。
立ち上がった瞬間私は左手の甲に鋭い痛みを感じた。
何かを刻みつけられるような痛みだ。
「く…グゥゥゥ……!?」
私はその痛みに体を曲げて耐えるが痛みは増すばかりだ。
そして痛む手の甲を見つめる。
そこには三つの模様が組み合わさったような紋章が浮かんで
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