新たな我が家〜
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。当分眠っていてほしいね」
須郷の指が明日奈の唇に近づく。
「やめろ!」
和人が須郷の腕を明日奈から引き離す。
「須郷さん、お姉ちゃんの昏睡状態を利用する気なんですか!?」
須郷はニイっと笑う。
「君がそんなに強気で迫るなんて、初めてじゃないか?・・・それに利用ではなく正当な権利だよ。早貴なら知ってるだろう?《アーガス》がどうなったか」
「・・・開発費に事件の補償による負債を抱えて解散したと聞きました」
「そう、そしてSAOサーバーの維持を委託されたのがレクトのフルダイブ技術研究部門・・・僕の部署だよ」
「じゃあ・・・」
「・・・明日奈の命は今やこの僕が維持していると言ってもいい。なら、僅かばかりの対価を要求したっていいじゃないか?」
「そんなこと・・・わたし、報告します」
「誰に?今までろくに意思表示もしなかった君が、誰に何を言うんだい?二年間ゲームに閉じ込められた君と真面目に生きてきた僕。周りの人間はどっちの言葉を信じるかな?」
「っ・・・」
・・・言い返せない。誰も、きっと信じてくれない。母や父でさえ・・・むしろ精神異常を起こしていると考えるかもしれない。それほどまで・・・今までの人生を悔やんだ。
「・・・うぅ・・・」
その場に座り込んでしまう。涙が零れ、止まらない。
「泣き虫なのは変わらないようだね。さて、桐ヶ谷君、君がゲームの中で何を約束したかは知らないけどね、今後ここには一切来ないで欲しいな。結城家との接触も遠慮して貰おう」
和人が拳を握り締めるのが分かった。
「式は来月この病室で行う。君も呼んでやるよ。それじゃあな、せいぜい最後の別れを惜しんでくれ、英雄くん。そして早貴も、長らくお世話になるよ」
須郷はそう言って病室から出ていった。
「う・・・わぁぁぁ!!」
泣いた。防音を抜けるんじゃないかと思う位に。和人が何かを言った気がするが・・・わたしには、それを聞く余裕はなかった・・・
亮〜
「・・・」
夜。和人は夕方に帰ってきたようだが、それから部屋に閉じ籠ってしまった。
「お兄ちゃん、どうしたんだろ・・・」
「さあ・・・夕飯も食べてないし・・・」
「あたし、ちょっと様子を見てくる」
「・・・ああ、頼む」
直葉はそう言って二階に上がって
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