SAO編
episode6 虚ろな風と再びの火種2
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「……っ!?」
アスナがその場を訪れた時、始めシドは死んでいるのではないかと思ってしまった。
彼は、安全エリアぎりぎりの位置で、力尽きたように仰向けに倒れていた。右腕がその顔を覆っており、眠っているのか…或いは泣いているのか、判別がつかない。更に言えば、アスナ達二人が近づいても、まるで起き上る気配が無い。
普通、屋外で休憩…というか、仮眠をとる際には『索敵』スキルでのアラームをセットするなどの対策を取らないと、PK…睡眠PKと呼ばれる殺人集団の常套手段などの格好の獲物になりかねない。アスナもそれで一度大変な…いや、大変恥ずかしい目にあったことがある。
そして、この男がそういった対策を一切取っている様子を見せないことが、アスナを悲しくさせた。おそらく、「いつ死んでも構わない」とでも思っているのだろう。以前からそういった空気をもった男ではあったが、今回の事件でそれはもう無視しえないところまで来ている。
「シドさん」
声をかける。
この距離まで接近を許したことに驚く様子も無く、シドはゆっくりとその腕をずらして、声をかけた自分を見つめてきた。その目に、一瞬アスナが息をのむ。人間に、生きた人間に、こんな目が出来るのか、と驚きを隠せなかったのだ。様々な負の感情をぐちゃぐちゃに混ぜあわせて凝縮し、それを固めて目に嵌め込んだような、昏く淀み、濁った瞳。
だが、固まってばかりは居られない。
今日は、用事があってきたのだ。
「シドさん。キリト君が、多分ここにいるだろうって、教えてくれたの。今日はあなたに、お願いがあって来たの。聞いて貰えるかしら?」
「……そうか」
何の感情も持たない、合成音のような声。
「っ、『笑う棺桶』の、討伐隊の編成が終わったわ。すぐに奴らのアジトに向かうの。メンバーの人数も、レベルも、こちらの方が十分に上。上手くいけば、私は無血投降すら可能だと思ってる」
「……そうか」
ラフコフの名を出しても、その声に揺らぎは…人間らしい感情の動きは、ない。
キリトは言っていた。ここが今現在知られている(といってもアスナは全く知らなかったのだが)ダンジョンの中で数少ない、エストックを使うモンスターのポップする場所だと。もしシドが、ラフコフへの再戦を…復讐を考えているのなら、ここにいるのではないか、と。
キリトの読み通り、ここにシドはいた。
だが、その理由は違った。
少なくとも、復讐のために腕を磨いていたのでは無かった。
シドの、かつて『旋風』と呼ばれた男の心の炎は、完全に消えてしまっていた。
「…でも、必ずそう上手くいくとは限らないわ。だから、相手の情報は出来るだけ集めておきたい。あなたが戦った三人の、戦闘スタイルを教えて
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