熊・・・暴君の方ではない
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おぅ、忘れてたぜ……熊って嗅覚鋭かったなぁ。
俺は気配をこれ以上隠しても無駄だと判断したので、熊から50メートル離れた場所に姿を曝した。
「やぁ、熊さん。
その宝石は危険だからさ、それをこちらに渡してくれない?」
夕日が沈んでどんどん薄暗くなっていく森の中で、俺はにこやかに熊に語り掛けるのだった。
《人間!!》
熊は俺の存在に気が付くとこちらに突進して来た……その最中、俺と熊との間に有った木々は熊によってバキバキと折られていった。
体に木が接触しているにも関わらず、熊の移動速度はおさまる所かどんどんと加速してきた……まるでダンプカーだな。
「当たると痛そうだ……剃」
あれに当たるのは勘弁してほしいので、俺は剃で回避することにした。
その瞬間、俺が今まで居た場所には”ドオゴーン!!”という轟音と共にクレータが出来上がっていた。
砂煙が舞い上がるクレーターの中から、熊がこちらを”ギロリ”と睨み付けて来た。
《こいつ……いつの間に…》
そう熊は思いながら、こちらに向かってまた突進する体制に入っている。
「まぁ、待て熊よ。
その宝石はマジで危険なものだからこちらに渡しk―――」
《今度こそ……喰い殺してやる!》
俺がまだ会話中にも関わらず、熊はこちらにまたもや突っ込んできた。
会話は無駄か…。
ん? そもそもコイツは人間の言葉を理解しているのだろうか?
……まぁ、そんな事どちらでもいいか。
俺はこれ以上の会話は意味が無いと判断し、熊からジュエル・シードを奪う方向に頭をシフトチェンジした。
その間にも熊は”ドドドォォ!”という効果音を立てながらこちらに接近している。
「熊よ、許せ……嵐脚!!」
俺は熊との距離が15メートルに差し掛かった所で、嵐脚による攻撃を行った
嵐脚は熊に吸い込まれる様に、熊の右前足に直撃しその脚を切断した……。
体重を支えていた足が無くなった事により、熊はバランスを崩しゴロゴロと前のめりに回転しながら倒れた。
《グアァァ!! 足が! お、おのれ……人間め!!》
熊がこちらをさらに強く睨み付けると同時に、熊にくっ付いているジュエル・シードが強く光だした…。
その光は熊の右前足だった場所に集まると、瞬く間に足が元通りになってしまった。
《コロシテヤル……コロシテヤル!!》
マジか……嵐脚で足を切断して動けなくなった所でジュエル・シードを回収するつもり
だったけど……足が蘇生しやがった!
しかも蘇生まで約2秒弱しか掛かってない……。
つまり…足を切断して2秒弱なら普通のダメージを負わせても恐らく1秒弱で回復する
だろう……厄介だ。
厄介だが、その元の根源を無くせば問題は無くなると俺は予想する
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