第30話 仲魔、仲間、友達。そして、家族(2)
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あれからリリーさんも交えて相談を聞いてもらおうと言う話になり、元々目指していた翠屋へ3人で向かいました。
その道中、どうしていつもの4人ではなく2人だけ先に帰って来たのかを離していたんですが……
「いらっしゃいませ……あら、どうしたの、後ろ?」
翠屋につくと接客中の桃子さんが笑顔で出迎えてくれましたが、私達を見るとけげんな顔に変えてしまいます。けど、それもそうだろうなぁって思ってしまいます。
まぁ、だって
「うっ、うぅっ、ももこぉ〜。ジュンゴが、ジュンゴが〜〜」
さっきまであれだけ颯爽としていたリリーさんがぐずぐず半泣きになって、私に手をひかれながら入ってきたんだから。
道すがら事情を話していて、“今日、放課後には純吾君に会えそうにない”って言う事が分かった時から、ずっとこんな感じです。ここに来る直前に感じたドキドキを返してください、割と切実に。
「私を! こんなにいい女な私を置いてっ! なのちゃんとどっかにいっちゃったのよぉ〜〜!! 今日は全部オフにするって聞いてたから、一緒にデートできるって思ってこうやっておしゃれしてきたのにぃ〜!! こんなオチってないと思わないっ!?」
言いたい事を言うと今度はうわーんって大泣きし始めるリリーさん。ちょ、ちょっとお店の中の人が見てますって!
なんて言うか、純吾君が関わっている時だけは本当に自分の感情に素直で、子供みたいです。
「あぁもうっ! モモコ、実はアサリンとすずちゃんから相談に乗ってって言われたんだけど代わりに受けてくれない? 私、ちょっとやる事ができたから」
って、えぇっ! 気持ちの切り替えすっごく早い! いきなり顔をがばってあげてそんな事言いはじめるから、ちょっと驚いてしまいました。
「あら、何をするの?」
「決まってるわよ。ジュンゴとなのちゃんが行きそうな場所を徹底的に探し回って、なのちゃんからジュンゴを奪っ…しゅ……」
リリーさんが段々と顔が引きつっていったので、何なんだろうって思ったら……
「あらあら、あんまり良い趣味とは言えないわね」
も、桃子さんが怖いっ! ほっぺたに手をあてて笑っているけど、目が全然笑っていないですっ!
「ねぇ、そんな出歯亀みたいな事するのが、あなたの考える“いい女”?」
「え、えっとぉ、ね」
「それに、純吾君知ったらどう思うでしょうね〜。“お友達の悩み事よりも、自分の我がままを優先させちゃう人”って」
「あっ! う、ううぅぅ〜〜〜!」
ニコニコとした桃子さんが、リリーさんを口だけでやり込めています。
……私の家族じゃあ誰でもリリーさんに言い合いで勝てないのに、本当にすごい。私の隣でアリサちゃんも、どうやったらそんな事ができる
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