第30話 仲魔、仲間、友達。そして、家族(2)
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出してるのか、先ほどよりももっと顔をしかめて吐きすてるように言うリリーさん。
そこまで言われたら、黙っていた他の理由にも思い至ります。きっとなのはちゃんや純吾君は、その人と争って怪我を負ったに違いありません。それで、私達に心配をかけるのが“怖くて”、黙っていたんだと思います。
そう思うと、先ほど胸に湧いてきた理不尽な怒りが一層強くなるのを抑えきれなくなります。
「ならそんな奴っ! とっととやっつけちゃえばいいじゃないですか! こんな事してられない、とっととあいつらのとこに行って」
そう言って立ちあがったアリサちゃん。私も感情の赴くまま、一緒に席を立って店を出ようとして――
「行って、何をするつもり?」
ぞわり、と。背筋を這いまわる恐ろしさに体を硬直させてしまい、イスに尻もち付くみたいに座ります。
これは、一度体験したことのある怖さ。はじめて悪魔と、リリーさんと出会った時のあの、怖さ。
「まぁったく、だから教えたくなかったのよ。言ったわよね、あなた達がこの事で手伝えることなんて何もないって」
目の前にいるのは、一見、退屈そうに頬杖ついているだけのリリーさん。けれども、その声はいつもより少し冷たい雰囲気を持っていて。
初めて会った時の、純吾君を守ろうと全てを拒絶していた時の様な、まるで目に見える全てが仇敵のような冷たい目で、私達を見つめていました。
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