第30話 仲魔、仲間、友達。そして、家族(2)
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のるって良いわねぇ〜。これだけで皆の悩みも無くなって、ジュンゴに褒められちゃうんだもん」
そんな私達を尻目にリリーさんは大きく伸びをしながらそう言うと、またぱくぱくデザートを食べ始めます。
本当に、私達との話は終わったっていわんばかりの態度に、とても暗い気持ちになります。それと、どうしてちゃんと聞いてくれないんだろうっていういらだちが出てきて、思わずリリーさんを睨んでしまいます。
「………」
むすっとした顔をしていたのでしょう。ぱくぱくと、私達を無視してデザートを食べていたリリーさんのスプーンが止まります。
それからしばらくじっとお互いに対峙していましたが、やがて小さくため息をつくリリーさん。
「……はいはい、分かったわよ。ちょっとイジメがすぎちゃったわね、ごめんね」
髪をかき上げ、リリーさんがそう言います。
「えっと、それってつまり?」
「あぁほらほら。そんなぽけっとした顔したらせっかくの美人さんが台無しよ。だからぁ、さっきだした結論は、私にとっても不本意だっていうの」
「じゃ、じゃあなんであんな事」
「あ〜はいはい、そこもこれからちゃんと説明するわよ。あなた達2人の役に立ちたいって言ってたけど、2つ間違って考えてる事があるわよ」
アリサちゃんとリリーさんが言い合いを始めますが、あまりの展開の速さに私はついていくことができなくなります。ただ、言いあっている目の前の2人を見つめることしかできません。
「だ〜か〜らぁ、役に立つってジュエルシードの事だけじゃないでしょう?」
「でも、あいつらが悩んでるのだってそこなんだし――」
「そこよそこ。アサリン、そんなに悩んでるのに、どうしてあの2人がそれを話そうとしないか分かる?」
その言葉の意味を捉え兼ねたのか、アリサちゃんが次の言葉を言えません。
うぅん。どうして、どうして、かぁ。
「……怖い、からかなぁ?」
「当たりよすずちゃん! 間違ってる所その一、悩みを言わないのは渋ってるんじゃなくて別の理由だからっ!」
小さく呟いた私の声に、ビシッと手に持ったスプーンを私に向けてくるリリーさん。突然の大きな声に、考えに没頭してた私もアリサちゃんも驚いて顔をあげます。
そんな私達に少し微笑みかけてくれたあと、リリーさんは言います。
「2人は怖いの。今までの平和な生活から一変した事が怖い。あのモンスター達と会って戦わなければならないことが怖い」
少しだけ言葉を区切り、最後にリリーさんはこう付け加えました。
「そして一番、そんな日々を当たり前だって思ってくる自分達の気持ちが、あなたたちと離れていく事が、ね」
……あぁ、咄嗟に出てきた“怖い”って言葉だったけど。今の話で少しだけ、
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