第30話 仲魔、仲間、友達。そして、家族(2)
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
子ちゃんめ。こんな面倒事まで引き込んでくるなんて……」
お、お尻? リリーさんが顔を俯かせたままぶつぶつと言っている内容、少し変な事も聞えたけどそれってもしかして――
「リリーさん! 温泉に行ったあの日に何が起こったか、教えてくださいっ!」
アリサちゃんが身を乗り出してリリーさんに問い詰めます。やっと見つけた2人の悩みの原因、それを逃してなるものかと必死な顔。それを見て私も同じように机に身を乗り出してリリーさんへお願いします。
けれども私達2人をリリーさんは一瞥すると、一言
「駄目よ」
そう短く言い放ちました。
「どうしてですっ! だって――」
「だって、それが分からないと2人の悩みが分からない、解決することができない、かしら?」
咄嗟に出たアリサちゃんの言葉が、リリーさんに先回りして言われてしまいます。
確かに、私達の言いたい事は貴女の言った通りです。だけど、それを分かってくれるのならどうして……?
「だって、私はジュンゴの“仲魔”ですもの。ジュンゴがまだ言わないって言うんなら、私が先に言う訳にはいけないでしょう?」
反論を封じられてどうしたらいいか分からない私達を尻目に、淡々とリリーさんがその理由を話します。机に頬杖をついて、私達ではなくくるくると回すスプーンを眺めながら、とてもつまらなそうに。
「それに」
と前置きして、私達の方を向きなおるリリーさん。その目はデザートを食べていた時の無邪気なものでも、ついさっきまでのつまらないというような感情が込められたものではありませんでした。
「そうねぇ……。例えばアサリンって、確かピアノ弾けるんですっけ?」
「え? あ、はい」
「じゃあ、アサリンがピアノ弾いてる時にピアノなんて知らない私が色々と演奏に口を挟んで、あまつさえ割り込んできたら……。あなたの演奏にとって良い影響があるかしら?」
「それは…」
リリーさんの質問に答えようとした、隣のアリサちゃんの顔が曇ります。机の下で、ギュって手を握ったのも見えました。
私の顔も曇っている事でしょう。眉間に力が入っているが自分でも分かります。
だって、
「それと一緒よ。あなた達みたいな、こういう事への素人に首を突っ込まれて困るのはあの2人よ?」
リリーさんの言葉が、重くお腹の上に落ちてきたみたいに感じられます。いつも純吾君の隣にいて、彼の事を一番に考えてるリリーさんの言葉だから、余計に。
さっきまで感じられた、やっと問題が解決するかもっていう高揚感も無くなって、自然に顔も下を向いてしまいます。
やっぱり、私たちじゃあダメ、なのかな……?
「と、言う訳で相談終わりねっ♪ はぁ〜、相談に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ