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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第二十八話 統一に向けて
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っては地球に次ぐ拠点ですからね、ここに置いておきたくないんです』
「……」
公が納得していないと見たのだろう、エーリッヒの苦笑が更に大きくなった。

『自治領主府内部に彼らの協力者が居ないとも限りません。彼らの活動資金にされては困る、そう言っています』
「……なるほど、活動資金か……。地球を失った今、彼らが次の根拠地に選ぶのはフェザーンの可能性が高い、必要になるのは金か……」
ローエングラム公が合点がいったという面持ちで頷く。

『ようやく御理解いただけたようですね。それにしても我々を手癖の悪いコソ泥扱いとは……。いささか心外です、もう少し信用していただいているのだと思っていました……』
皮肉混じりの口調にローエングラム公が幾分バツの悪そうな表情を見せた。

「そういうわけではない。ただ物が物だ、心配になっただけだ」
エーリッヒがクスクスと笑い声を上げる、公の表情が益々渋くなった。また公の機嫌が悪くなるな。エーリッヒ、その辺にしておけ、後で苦労するのは俺達なんだ。フロイライン・マリーンドルフも切なそうな表情をしている。宥めるのが大変だと思っているのかもしれない。

『それとフェザーンが所有していた国債も名義変更しました、これも危ないですからね』
「国債?」
公がキョトンとしている、いや公だけじゃない、皆も同じだ。
『帝国政府が発行した国債、約十二兆帝国マルク。それと同盟政府が発行した国債、約十五兆ディナール。ちなみに償還期限を超えたものですが帝国が三千億帝国マルク、同盟が五千億ディナール有ります。いや、凄いものです』

いや、凄いものですって、何だよそれは……。帝国だけで十二兆帝国マルク? 周囲を見たが皆度胆を抜かれている。
『既に名義変更されているかと思いましたが大丈夫だったようです。地球教はあまりルビンスキーを信用していなかったようですね、それこそ横領するとでも思ったかな。或いはルビンスキーが指示を受けてもそれを無視したか……』
エーリッヒが笑い声を上げた。

「それを、どうするつもりだ」
公の声が掠れている。
『ご安心を、オーディンに戻りましたら全て帝国政府に名義変更します。私はそんなものには興味は有りませんので』
今度はフフフ、とエーリッヒが笑った。ご安心をと言われても全然安心できない、俺だけじゃない、皆不安そうな表情をしている。

「何も要らないと言うのか?」
ローエングラム公が不信感丸出しで問い掛けた。気持ちは分かるがその不信感をもう少しオブラートに包めないものかな。エーリッヒは味方なんだから……。
『そうは言いません。欲しいものはちゃんと頂きました』
エーリッヒがまたフフフと笑う。益々嫌な予感がする。

「何だ、それは」
『内緒です。誤解しないで頂きたいのですが私個人の利益のた
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