第二十八話 統一に向けて
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「ルビンスキーは?」
『残念ながら逃げました。今、ウチの人間が追っています』
今度は溜息だ。やはり一筋縄ではいかない……。
「卿でも失敗する事が有るのだな」
幾分皮肉交じりの公の言葉にエーリッヒが苦笑を洩らした。
『当然でしょう。神様だって失敗するんです、私が失敗しても不思議じゃありません。……閣下、嬉しそうですね』
「そんな事は無い、卿の誤解だ」
『誤解ですか、映りが良くないのかな。どういうわけか私には元帥閣下がとても喜んでいるように見えます』
「オーディンとフェザーンは遠いからな、映りが悪いのだろう」
皆、呆れた様な表情で顔を見合わせている。実際俺には公が喜んでいるようにしか見えない。おそらく皆にも同じように見えているだろう、つまりエーリッヒにもそう見えているはずだ。
『代わりと言っては何ですが長老委員会のメンバーを拘束しました』
「長老委員会?」
ローエングラム公が不思議そうな声を出した。心当たりがないようだ、俺も同じだ。一体何なのか……。
『自治領主を選ぶのが長老委員会です。地球教はこの委員会を通して自分達の代理人を選んでいました。オーディンに送りますので調べてください。色々と面白い話が聞けると思います』
「なるほど」
失点挽回か、ローエングラム公は少し面白くなさそうだ。
『ところで自治領主府の地下から妙な物を見つけました』
「妙な物?」
公が訝しそうな表情をした。妙な物? 何だろう、地球教に関する何かだろうか……。もしそうなら捜査が進むとアントンも喜ぶ、いやまた先を越されたと顔を顰めるかもしれんな……。
『時価総額で一兆帝国マルクは下らないと思われる貴金属です』
「何?」
ローエングラム公が不思議そうな表情でスクリーンを見ている。そして視線を俺達の方に向けた。良く分からない、お前達は分かったか? そんな表情だ。俺も良く分からない、時価総額で一兆帝国マルクは下らない貴金属? 何だそれは?
『金、プラチナが主体ですが、他にもダイヤ、ルビーの宝石類、それに絵画ですね。随分と貯め込んだものです』
言っている意味は分かるがとても俺には想像できない、おそらく皆も同じだろう。会議室の彼方此方から溜息が洩れた。
「どうするつもりだ、それを。まさか……」
『ええ、接収しました。ここに置いておくのは危険ですから』
「それは横領だろう、そんな事は許されんぞ!」
ローエングラム公が厳しい声を出すとエーリッヒは苦笑を浮かべた。まさかとは思うが“私達は海賊なんです”って言うんじゃないよな。
『誤解が有る様です、接収はしますが着服はしません。ロイエンタール、ミッターマイヤー提督がフェザーンに到着すれば我々はオーディンに向かいます。帝国政府に全てお渡ししますよ。フェザーンは地球教にと
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