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戦国御伽草子
参ノ巻
守るべきもの

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 そうすれば、夜の闇を意識せずには居られない。



 闇が静かに鎮座する庭は、あたしですらなかなか怖いと思う。由良は恐怖を隠し得ないのか、あたしの袖をぎゅうと掴んだ。



 家の外に出るわけでもあるまいし、と思って明かりの(たぐ)いはなにも持ってきていないから、ぽつ、ぽつとある釣灯籠(つりどうろう)の光を頼りに歩く。



「わ、私、瑠螺蔚さまについてきて頂いて本当に良かった…」



 由良が震えてそう言うのに、あたしもうんと頷いた。



 あれ待てよ、あたしこれ帰りはひとりじゃ…。



「瑠螺蔚さま、ここでよろしゅうございますわ」



「あ、うん。で、由良、手燭(てしょく)かなんかあったら貸して欲しいんだけど…こうも暗くちゃ、庭に転げ落ちちゃう」



「私ですか?…ない…かもしれません。兄上さまなら…」



「いや、高彬のところ行くのは、こないだのこともあるしよしとくわ」



「そうですわ」



 間髪入れずにそういった由良にあたしは笑った。



「ですが瑠螺蔚さま。安心して下さい。もうそのようなことは起こりませんから」



 やけに自信たっぷりに由良は言う。



「なんでよ」



「昨夜からあのものの寝室を瑠螺蔚さまのお部屋の隣にしたのですわ。これで、兄上さまが忍んで参りましても、大丈夫でございます」



「待って。あのものってどのもの?隣って!?」



「私たちが拾ってきた、あのものです。ですから瑠螺蔚さま、なにかあったときは、襖をこう、さっと開けて…」



「…由良、あんた…」



 あたしは片手で額を押さえながら言った。



 由良にとっての危険人物は高彬だけなのかしら。



「…高彬はなんて言ってたの」



「兄上さまには知らせておりません」



「そうでしょうね…由良、婚前のあたしに、襖一枚で仕切られただけのところに寝ろって?男と」



「え?あ…」



「まぁいいわ。あいつあたしに興味なんてないだろうしね。じゃあね。体冷やさないようにちゃんと衾被って寝るのよ」



 あたしは踵を返すと、ひらひらと後ろ手に手を振った。



「…はい。お休みなさいませ」



「ん。おやすみ」



 少し歩いて暗さにはっとした。



 手燭…。



 振り返ってももう由良は部屋に入ってしまったあとだった。がらんとした濡れ縁が余計に今ひとりだと言うことを実感させる。



 いや、
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