参ノ巻
守るべきもの
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る。本当に姫に懸想してやっているのか、財産に目が眩んでこういうことをしているのか。後者が圧倒的に多いが。みんな玉の輿に乗ろうと必死なのだ。
あたしは気前よく笑顔で頷いた。
「かしこまりました。きっとお伝えいたします」
「絶対に、伝えて欲しい。頼んだぞ」
あたしは門をくぐると舌を出した。
ずっとそこで待ってろ、ばかっ。誰が、かわいいかわいい由良の身を危険にさらすかってーの!
何が「三浦が会いに来た」、よ。
いや待て…三浦?なんか、どこかで聞いたような?
「あら、瑠螺蔚さま。お早うございます」
「あれ、由良」
その時、丁度良く由良が通りかかった。
「一応聞くけど、あんた三浦なんてやつ知りあいじゃあないわよねぇ?あのさぁ、もう笑い話なんだけど今そこで…」
「えっ、三浦さま!?」
由良は俊敏に反応した。へ?と思っているうちに、由良は小走りであたしに近寄ってくると、ぎゅっとあたしの手を握った。
え、なになに?
「瑠螺蔚さま、どちらで知り合われたのですか?三浦さまが、なぜ…」
由良はうるうるとした目であたしを見た。
「え、と、今そこで、なんか、あんたに会いに来たみたい、だったけど…」
「本当ですか!?」
由良の声は興奮のためか上擦っていた。
もしかして、由良…。
「あんた、前言ってた好きな人って、まさか、その三浦…」
「もう、嫌ですわ瑠螺蔚さま、そんなにはっきりおっしゃらないでくださいませ!」
恥ずかしそうに由良は俯いた。
えー…っと、え、なに?あの男が、由良と?え、本当に…本当に!?
そういえば前にちらりと名前だけ聞いたことがあったような。
あたしは男の顔を思い浮かべた。顔は悪くないけれど、取り立てて良いという程でもないあの男、あの馬の骨が、うちの由良と!?
一体いつから、いやどこで…。
いかん。もう娘を嫁に出す父親の気分だわ。
まぁ、由良が選んだのなら、案外良いやつなのかもしれないし。
「そっか。よかったわね。高彬はうまく誤魔化しておいてあげるから、行ってらっしゃい」
「はい」
由良は頬を染めて頷いた。
「それでですね、私に『大丈夫ですか』とおっ
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