第10話
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「実は俺、4月から海外勤務になるんです」
「なんだって!?まあ、九鬼財閥に就職してるから不思議じゃないんだけど、またえらく急な話だね」
「そうですね〜。それでどちらの国に行くのかしら?」
天王寺が言う通り、悠斗が海外勤務になるのはあまり気にならなかった。まあ、また会える迄に時間が掛かるのは凄く嫌だけど、仕事だから仕方がない。私は黙って悠斗の話を聞く。
「すいません。転勤先はまだ知らされていないのです。来月になれば分かるのですが、それだと皆さんに報告するのが遅れますから」
「そうなんだ。じゃあ、悠斗は暫く日本には居ないんだね」
「なごみ。そうなんだ。それでだ、済まないがまた暫くの間実家の管理をお願いしたいんだが・・」
「構いませんよ〜。鍵は預かっていますからね」
母さんが鍵を悠斗に見せる。今、鍵を何処から取り出したんだろう?
私には少なくとも持っている様には見えなかった。
「すいませんが、また暫くお願いします」
「分かった。悠斗任せておいてね」
「なごみ。すまないが頼む」
悠斗が私の頭を撫でてくれる。ゴツゴツしていて男らしい逞しい手だ。
(悠斗の撫でかたは、相変わらず落ち着くな。また、海外に行くのは寂しいけど悠斗は必ず帰ってくるしね)
悠斗に撫でられながらそんな事を考える。
悠斗が泊まっていくと分かったので、その日の夕飯は腕によりをかけて料理を作るのだった。
なごみsideout
揚羽side
我はふと目が覚める。時計を見ると時刻は午前2時を過ぎた所だった。
(ふう。悠斗が居ないとなんとも落ち着かんな。やはり、1人で布団で眠ると寂しく感じるな)
普段は悠斗が共に眠っているため、広く感じる事は無かったが今は悠斗が帰省しているため、我は久し振りに1人で眠っておるのだ。
無論、悠斗の代わりに小十郎が我の専属の任を続けているため問題は何もないが。まあ、襖の向こうで小十郎は待機しておるがな。
(あと、一月か。我が死合に望むのは。我は体調を整ているし、最近の修行で更に強くなってきている。故に、川神に負ける可能性は低いが向こうも1ヶ月後の死合に向けて修行をしているはずだ。どうなるかは、拳を交えてからでしか分からないか)
会場は川神院。警備に万全を期すと川神院側が言っていたから、今回の死合に邪魔が入る可能性は無い。死合に完全に集中出来るのだ。
(次の死合はまさに我にとって最後の死合になる。我は4月から九鬼財閥に就職する故、恐らく川神と拳を本気で交える事は無くなるだろう。後は、後悔しないように全力で挑むだけよ!)
我は拳を強く握る。我の気合は充分だった。
(たが、悠斗は4月からいなくなってしまうのか
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