第10話
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えていたのは、煙草ではなくて禁煙パイポだった。私は悠斗の左腕に両手を絡めて抱き付く。
「うん?どうした?」
「悠斗は嫌だった?」
「別に構わない。それより、なごみはもう少し警戒しな。綺麗な女性なんだからさ」
「別に。私に関係のない人間には興味が無いからね。綺麗ってのには、素直に誉め言葉として受け取っておくね」
悠斗はやれやれと苦笑いする。それから、他愛の無い話をしながら自宅に帰る。悠斗も私の家に寄っていく。
居間に入ると、母さんと天王寺がのんびりとお茶を飲んでいた。
「ただいま母さん」
「なごみちゃん〜。お帰り。お買い物は済んだのかしら?」
「なごみちゃん。お帰り。荷物が無いようだけど?」
「荷物は私が持ってるんじゃないんだ。それより、お客さんが来たよ」
「あらあら?誰かしら?町内会の会長さんかしら?」
「お邪魔します。のどかさん、天王寺さん。お久し振りです」
私と一緒に居間に入る悠斗。母さんと天王寺が驚いた表情になる。
「あらあら、悠斗君。久し振りね〜。今日はお休みなのかしら?」
「やあ!悠斗君。帰って来るなら連絡の1つもくれれば良いのに」
「はは。すいませんね。何分、今回は皆さんに報告する事が有ったので来ましたので」
「そうなの〜?まあ、座ってください。お茶を出しますから〜」
母さんに進められて座る悠斗。テーブルを挟んで、母さん、天王寺、と向かい合う形で私、悠斗、の順で座る。
悠斗は母さんが入れたお茶を飲む。私は自分で淹れたコーヒーを飲む。
悠斗は湯飲みをテーブルに置く。
「それで悠斗君。話とはなんなんだろう?雰囲気から察すると、かなり重要な話だと思うんだけど?」
「天王寺さん。もしかしたら、悠斗君はなごみちゃんをくださいと言うのかも知れませんよ!?」
「な、なんだって!?のどかさん!こうしちゃいられないよ!早速お寿司やさんに出前を頼まなくちゃ!」
「そうですね。後は、式場選びですね。ああ!なごみちゃんはウェディングドレスか着物のどっちが好きかしら!?」
私の目の前で繰り広げられる、夫婦漫才に私は呆れてため息が出てきた。
(まあ、もし悠斗がそう言ったら私は構わないけど、せめて先に私に告白して欲しいな)
私からしたら決して悪い話じゃないと思いながらも、悠斗をチラリと見ると凄い真剣な表情をしていた。案外母さんが言った事は間違いじゃないのかも知れない。
「ゴホン。お二人とも聞いてください」
「ああ!ゴメンゴメン!悪かったね。それで何かな?」
「悠斗君。なにかしら?」
漫才を止めて真面目な表情で悠斗を見る二人。私も悠斗を見る。居間にはかなり真剣な空気が漂っていた。悠斗が口を開く。
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