第一物語・後半-日来独立編-
第二十四章 変化の始まり《4》
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視線を覇王会会長であるセーランに向けた。
「お前はどう思う」
「そうだなあ、普通なら山神が許しくれる範囲ギリギリを横断するのが理想的だけども、ぶっちゃけ霊憑山の山神はなかなか人と関わろうとしないからそれに時間掛けるわけにはいかないんだよなあ」
「宇天長の解放開始時間は午後五時から、今は午前十一時二十分。時間掛けてもよさそうな気が」
飛豊が言ったことには一理ある。その考えが普通だ。
社交院との会議は長引くと予想していた飛豊にとっては、予想以上に早く会議が終わった。
海を渡って辰ノ大花へ向かっても、最大出力で移動すればそう時間は掛からない。
疑問符が頭に浮かぶ。
「それもそうなんだけど、宇天の長救ったら今度は他国へ渡ることになるからさ」
「そうか、なるほどな」
外交関係に詳しい飛豊には容易く理解出来た。
「今や日来は神州瑞穂所属と言えども何するか分からない存在だからな、時間が経てば他国は万が一のために日来の対策を練ってくる。だから対策を練られる前にいち早く行動するということか」
「分かってるねえ。やっぱり飛豊は理解が早いな」
だが辰ノ大花へどのように行くかの解決にはならない。
考えたが、諦めた様子でセーランが頭を掻く。
「もうどうでもいいや。この際その時の気分次第でいいだろ」
「いいわけあるか、葉木原さんよくこんな奴を会長にしましたね」
後ろにいる葉木原に、飛豊はセーランに親指を向けた。
覇王会会長になるには社交院の許可がいる。他に色々とあるのだが、最終的に決めるのは社交院だ。
嫌み混じりの言葉を吐いた飛豊に向かって、鼻で葉木原は笑った。
「そういう馬鹿みたいなのは案外何を考えているか分からない。ならそういう者を選ぶのは当然のことだ、そうだろ?」
「確かにそうですね、皆から馬鹿呼ばわりされてますし」
「本日三回目、馬鹿設定は無しって言っただろ」
「お前に馬鹿が外れたら何が残るんだ」
「ひ、飛豊お前見掛けによらず鋭いな」
自身も自覚はしているようだ。
胸に手を当て、心の傷を癒すセーランは笑っている。
だが、葉木原の言う通りだ。彼が何を考えているのか分からないときが時々ある。
日来を残すことは葉木原の代から決まっていたが、辰ノ大花の宇天学勢院の覇王会会長を救うことを決めたのはセーランだ。
好きだから、が理由だろうが何故かそれだけでは物足りないような気がする。
裏に何かを隠しているような、そんなはっきりしないものを感じる。宇天の長を救えば辰ノ大花が日来独立に協力してくれるかもしれないと、最もらしい理由を付けてはいるがそれだけなのか。
疑いに意識が集中しているのを感じ、飛豊は頭を横に何かを払うように振る。
あいつが何をしようともそれは日来を思ってのことだ。心配は無いさ。
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