第一物語・後半-日来独立編-
第二十四章 変化の始まり《4》
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通区別付かないと思うんだけど』
『皆様は皆様ですので。あ、手が滑って――』
“日来”は背後に立つ榊の方へ、視線を向けずに拳を振る。
映画面から空気を断つ音と中年の悲鳴が聞こえた。
『何が拳が滑っただよ! てか老人殴るなんて酷すぎるだろ!』
『は? 何言っているんですか、頭に巣食う虫を丁寧に駆除しようとしたまでですが。
ま、人類も虫と同格ですがね……』
『ちょっと、最後のは半目で目を逸らして言っちゃ駄目でしょ』
言いたいことを言い放題の機械人形を榊は指摘する。
毎度毎度自分は苦労するな、と榊は自分自身に同情のため息を送る。
何処に隠れているのか、身の隠す榊と機械人形達は映画面越しに外の様子を伺いながら着々と変形の準備をする。
これまでの会話の空気を断つように、ここで一つ咳払いをした後に“日来”は閉じた瞳を開く。
『それでは本格的に変形へと移ります』
この言葉に機械人形達は身構える。
変形時の衝撃で振り落とされないように、区域内に存在するあらゆるものに重力力場を発生させる。
重力力場とは名の通り、重力の力が働く場所だ。
重力も流魔が生み出している現象に過ぎない。ゆえに気体中の流魔に干渉することで、重力そのものを操ることが出来る。
一般的には系術や加護により使えるのだが、機械人形には作業の効率化を求めたため、身体にその力が組み込まれている。
束となり使うことで巨大なものでも、どれだけ距離が離れていようとも重力を操ることが出来る。
区域を宙で支える加速機の唸りがより一層強くなり、大気を動かし風を生み出す。
『各区域担当の者達は変形開始時から最後の仕上げのドッキング位置まで移動。その移動中に変形を完了させて下さい。
では、始め――!』
貿易区域・計四、産業区域・計四、居住区域・計四、生産区域・計五、外交区域・計三。
合計二十の区域が一斉に行動を開始した。
船へと変形するため不必要な装甲や部品をパージ、四角形の形が徐々に長方形の船へと変わっていく。
パージしたために空いた箇所へ変形パーツが結合、一隻の船の形となりつつある。
パージされ落ちるパーツは機械人形が重力力場により拡張空間へと収納させ、その後に新たなパーツを引き出す。そして引き出したパーツは周りに漂う戦闘艦を払うように、わざとパーツを大振りに動かしそれを払う。
パーツが離れ、結合される度に揺れと轟音が発生し、日来の地を賑やかす。
切られるように区域のパーツを取り外し、そこへ新たなパーツがまた結合される。
住民は全員が安全な場所へと避難しているため、作業は手早く進む。例えまだ避難が住んでいない住民がいたとしても、安全を確認してから行っているので心配は無いし、重力力場で急遽避難させることが出来る。
区域は堂々と
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